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コレステロール食品、大量摂取は避ける
キノコ、海草、大豆などを一緒に
(3−1)
札幌医科大学 栄養係長
成田博子
これまでに食事面での心臓・血管病予防の知識として「エネルギー」及び「食塩」について本パンフレット53、54号に掲載してきましたが、今回は「コレステロール」についてお話いたします。
脂肪の適正摂取量と摂取状況
厚生省は高血圧、高脂血症など成人病予防のため、平成6年3月に第5次改定日本人の栄養所要量を公表しました。それによると脂肪摂取の増大が動脈硬化を促進し、心臓病、脳梗塞の誘因となるため、日本人1日当たりのエネルギー量のうち、脂肪のエネルギー比率を20〜25%が適正範囲としました。また、脂質は量だけでなく、質的なあり方が重要であることから、その望ましい摂取割合などについても参考数値が示されています=図1=、=図2=。特に摂取時の注意として高脂血症体質の人は、コレステロ−ル摂取量を1日当たり300ミリg以下に抑えることが望ましいとしています。
また平成6年の国民栄養調査結果でも、いぜん動物性タンパク質、動物性脂質は増加傾向にあり、成人病の危険が高まっています。
血中コレステロールと動脈硬化
血中コレステロールは、細胞膜を構成する成分として、すべての細胞膜に存在し、特に脳、神経組織、脊髄に多くあります。私たちの生命活動と健康を支える成分として重要な働きをします。
体には100〜150gのコレステロールがあり、血液中にあるのは10g前後ですが、この血中コレステロールが動脈硬化と深い関係を持っています。
コレステロールは特殊なタンパク質とくっついて、リポタンパクという粒子となって、血液中を流れ細胞に運ばれます。この役目を持つのがLDL(悪玉コレステロール)というリポタンパクです。細胞に運ばれた後の余分なコレステロールを肝臓に持ち帰るのがHDL(善玉コレステロール)です。
LDLが増えたり、HDLが少なくなるとコレステロールが血管壁の内膜にたまり、血管の内腔は次第に細くなり、しかも硬く、もろくなってきます。これがアテローム硬化(粥状硬化)といわれる動脈硬化です。
症状として当初は、のぼせ、しびれ、不眠、動悸、息切れなどの自覚症状を伴い、さらに進むと狭心症、心筋梗塞のような心臓病、脳卒中を引き起こす原因となります。
食事のとり方と血中コレステロール
コレステロールは、食事としてとった脂質から肝臓で合成されます。従来、日本人はエネルギーの60%を糖質(穀類、イモ類、砂糖類)から得ていましたが、脂質(バター、肉類など動物性脂肪)のとり方が欧米人に近づくにつれ、血中コレステロールの量も少しずつ増えてきていることは、国民栄養調査の結果からも分る通りです。
動物性油と植物性油とでは脂肪酸の種類が異なり、性質が違います。飽和脂肪酸の多い動物油は血中コレステロールの量を増やして動脈硬化につながり、不飽和脂肪酸の多い植物油はLDL(悪玉コレステロール)を低下させます。
表1:コレステロールが多い食品
