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NO.17 |
生活習慣病から身を守る薬の正しい使い方と注意点
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最初に血圧の病気の薬です。中田先生のお話にもありましたように生活習慣病になる循環器疾患、高脂血症、これが防げるとかなりの生活習慣病の予防が出来ます。ただ、血圧を下げるというのは薬に頼るだけではだめです。日常生活、毎日の生活習慣を正していかなければなりません。タバコをぷかぷか吸って、酒をがぶがぶ飲んで、運動はさっぱりしない、そういうタイプじゃだめです。病院でも毎日生活指導を受けると思いますが、先程の話にもありましたように、さらに塩分を控える、そういうことで血圧が下がれば最高です。
私にはかわいい犬がいたんです。犬の寿命というのは大体15年くらいなんですね、15年経ったら死んでしまいました。それからは恒例の朝の散歩をしなくなってしまったんです。その分だけ毎日の歩行距離が少なくなりました。1日に9,000歩から1万歩歩くと健康に良いということです。私は車に乗りません、マイカーありませんので、出歩く時は公共交通機関を利用して結構歩きます。1度測りましたら、通勤だけで7,500歩位歩くんですね。たまに飲むような時は9,000歩位歩きます。その他、週1回ゴルフやっています。これは4時間位歩きますね。これで1日平均1万歩位にはなるんではないかと思っています。
血圧の薬ですが、急速に良い薬の開発が進んできました。ここに大きく4種類程とりあげています。1番多く使われているのが、カルシウムの働きを抑える薬ですね。なんか矛盾を感ずるかと思いますが、カルシウム拮抗剤と言って、これが現在一番多く使われております。アダラート、ノルバスク、コニール、アムロジン、どれか飲んでいる方がいると思います。
カルシウムは骨とか歯の主成分ですが、血液中にも若干溶けています。これが健康な方は問題ないのですが、血圧の高い方は細胞の中に入って来るのをちょっと抑えると、カルシウムの働きを抑えて血管が拡張します。それで血管が拡張すれば血圧下がりますよね。そういうことで降圧薬として現在トップで使われております。服用回数ですが、事例にありますアダラートは現在最も使われています。アダラートのL、アダラートのCRと言いまして、最初のアダラートは一日3回の服用なんですが、Lというのは一日2回です。さらに製剤技術が進んできまして2年程前CRと言うのが出まして一日1回でいいんです。1回で血液中の濃度、有効量を確保しますので、1回で効くということでございます。従って、薬について病院で飲み方を指示します。薬局でも言いますので、それに従って回数を守ってきちっと飲むということが非常に大切です。
「飲み忘れた!」さあ、どうします
問題は歳をとってきますと、「飲み忘れ」というのがあります。忘れた時は、どの薬もそうですが、あまり時間が経っていなければ、気がついた時点で飲んでもいいんです。ただ忘れたからといって、2回分を1回で飲んではいけません。副作用が出てくる危険性があります。絶対にだめです。ただ、次に飲む時間帯ですが、1日3回の場合は次に飲む時間まで4時間位は空けてもらいたいのです。1日2回の場合は最低6時間位空けて下さい。
それから薬の一般的な飲み方ですが、十分な水と一緒に飲むことです、そして胃に届ける。喉に留まりますと、酸性の強い薬ですと喉に潰瘍ができる場合があります。ですから十分な水で飲むことです。寝たまま飲まないことです。寝たきりの老人の場合は30度位体を起こして飲ませます。1〜2時間そのままの状態にしておいて下さい。これは喉に留まるのを抑えるためです。包装はバラの状態は少なくて、今はこのようなアルミパックに入っています。PTPと言いますが、このまま飲む方は最近少なくなりましたが、出始めた頃は、そのまま飲む人がいて問題になりました。そのまま飲むと、もちろん食道を傷つけます。2年程前によくこういう事故がありました。ですから、私たちも実際に中の薬を出して見せて、指導するようきつく言われています。
薬は人にあげない、貰わない
それからもう1つ、自分の薬は他の人には絶対にあげない事です。こういう事故例があります。狭心症の薬で冠状動脈を広げる貼り薬がありますが、それを使ったら肩凝りが良くなったものですから肩凝りの友達にあげたところ、貼って使って、薬には血圧を下げる作用もありますので、使った方は血圧がぐーっと下がって倒れたそうです。そういう危険なこともありますので、病院でもらった薬は他人にあげないことです。
カルシウム拮抗剤と言うカルシウムの働きを抑えるこの薬の場合は、食品と一緒に飲むと相互作用があります。こういう習慣は日本人にはないと思いますが、こういう系統の薬とグレープフルーツジュースを一緒に飲むと、薬がちょっと効き過ぎるんです。血圧の薬が効き過ぎるということは血圧が下がり過ぎるということですから、グレープフルーツジュースとは一緒に飲まないことです。ですから十分な水、水と一緒に飲むことです。
2番目に多く使われている薬は、先程のスライドでも出ておりました、ACE阻害剤といいます。体内で、ちょっと科学的な話になりますが、アンジオテンシン2と言って血圧を上げる成分が体内に生成します。健康な人は全く問題はないのですが、この成分は血管を収縮させますので、血圧の高い方はこの薬の服用により血管の収縮を抑えます。ACE阻害剤は昇圧物質を作るのを抑える薬です。レニベースとか、タナトリール、エースコール、コナン、セタプリル、大変多く使われています。これの副作用ですが、人によって空咳が出ます。特に夜間空咳が出るんです。副作用の頻度ですが、皆に副作用が出るようでは話になりません。そんな薬は他の薬があれば別に使わなくていいわけですから、厚生省で認可しなくてもいいわけです。まあ普通、副作用は多くて5%位です。最近は7%位のも出ています。これは咳が出ますので、体質の合わない場合、咳きが出る場合には主治医の先生に相談して下さい。この率は、他に特色がありますので、糖尿病とか高脂血症を併発している方には良いという特色もありますので、副作用があったら先生に相談して下さい。
それから3番目、これは昭和50年代に大変多く使われ、現在も使われています。先程の先生のお話にも出てきましたけど、ベーターブロッカー(ベーター遮断薬)です。心臓の拍動を少し抑える、あまり抑えてしまうと困りますから、少し抑える。心臓の心筋の収縮力を弱めますので血液の拍出量が少なくなりますと血圧も下がるということで、狭心症などにも使われています。そういう方で高血圧の方には第1選択薬として使われています。これも若干副作用がありまして、若干ですが、徐脈を呈する副作用もありますので、そういうのが出た場合には気をつけていただきたいと思います。
血圧の薬で4番目は利尿薬です。先生がしっかり説明されておりましたけれども、尿の出をよくしますと、血液量も少なくなり心臓も楽になります。血圧も下がるということになります。ただこの薬は1日1回または隔日投与となっています。夜トイレに起きるようだとまずいので、服用時間はできたら午前中に1日1回、遅くても午後4時位迄に服用となっています。夜に影響しないように服用することです。これもよく使われています、特に腎機能が低下した方で高血圧の方によく使われています。ただこれも尿と一緒にナトリウムとかカリウム、ミネラルも出てきますので、カリウムが不足する副作用がちょっとあります。それとか脱水的症状、例えば力が入らないといった時は先生に相談して下さい。
先程、2番目に出たACE阻害剤といって、昇圧物質を造らせない薬、アンジオテンシン2を造らせないようにする薬ですが、副作用として咳きが出る、若干ですが、多くて5%位ですが、その物質が体内で出来ているけれどもそれを逆に働かせないという新薬が昨年だったと思いますが、出ました。これは空咳はほとんどありません。ニューロタン、ブロプレスと言う新しい薬です。血圧の新薬ですね。出来て1年位です。その他、まだまだ血圧の薬には種類がありますが、このくらいにしておきます。
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