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No49 |
脳いきいき、笑顔で健康
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皆さんは声出ますか。それが大事です。声が出ないとコミュニケーションをとれませんからね。友達と会って挨拶する時、まさか顔見て「あぁ」、これじゃ駄目ですね。挨拶でどんなことに気をつけていますか。「笑顔」?いいですね。あいさつの「あ」、挨拶は明るくなくちゃだめ。「こんばんは」、「おばんでやんす」と言ったって、暗い顔して挨拶されたら、相手はもっと暗くなってしまう。私たちの脳にはミラーニューロンというミラー細胞があって、ミラー神経が相手を映し出す。そうすると、相手が笑顔でいると自分も笑顔になります。相手があくびをすると、こっちも何となくあくびが出ちゃうんです。自分が笑顔ですと、相手も笑顔で明るく答えてくれるんです。挨拶は明るく。あいさつの「い」は生き生きとしないといけません。あいさつの「さ」は?…さわやか…さわやかもいいですけども、挨拶は「先に」することです。知っている人がいたら、「おはようございます」と先に挨拶したほうが勝ち。そうすると主導権をとれる。あいさつの「つ」は?「つ」は続きの言葉を添えるということ。これがコミュニケーションのとり方です。「おはようございます、体の調子はどうだい、ひざは痛くないかい」、そういうものがないと次返ってこないんです。「果物好きかい」、「好き」、「私はミカンが好き」、「あっそうですか。私はメロンが好き」、「ああメロンかい。アンデスかい、夕張かい」というコミュニケーションのキャッチボールをするためにも、続きの言葉をいつも用意しておかなくてはいけない。それも全部脳で行います。そのためには声が出なくてはいけない。声、出ますか?
それでは私が「はい」と言ったら、「はい」と答えてください。いいですか、いきます。“はい!”― 今出遅れた人。脳のほうで言えといっても「あ〜、はい」。スイッチを入れたらピッと出なくてはいけない。私たちは声を出して生活しているのです。一 言もしゃべらなかったら駄目になってしまいますよ。座る時に「どっこいしょ」、立つ時でも「よっこらしょ」と、声を出しながら脳に指令がでて筋肉が動いてくれるんです。ただ、「どっこいしょ」、「よっこらしょ」は年寄りくさいけど、そんなのはやり方だから、立つ時「アチョー」と立てば、「若いね」とこうなる(笑)。やり方次第ですね。
では今度は私が「はい」と言って「パー」を出したら、皆さんも「はい」と言いながら「パー」を出してください。目で見て、脳で考えて、同じ「パー」をパッっと出してください。では、“はい!”(チョキを出す)― 途中で変えないで、チョキだと判断したら最初からパッとチョキを出しましょう。これは幼稚園レベルです。だって、大人のまねから入るのが小さい子でしょう。
小学校になると勝ちたいという気持ちが出てきます。人より上手になりたい、速く走りたいとなってくるんです。では私がグー、チョキ、パーを出したら、これに勝つやつを出しましょう。いきますよ、“はい!”― 同じものを出してどうするの(笑)。勝つものをお願いしますよ。
さあ、今度は中学生レベル。思いやりです、優しさです。私がグー、チョキ、パーを出したら、これに負けるやつを出します。いきますよ、“はい!” ― 人間というのは自信がなくなると声が出ないんです。「はい」と声を出さなければ駄目です。もう一度やりましょう。“はい!”はい、はい、…。― 勝っちゃだめ、だめ(笑)。要するに脳で考えたことに、体のほうがちゃんと動いてくれないと支障が出てきちゃうんですね。
それでは今度は大人です。私がチョキを出したら、チョキと勝つもの負けるもの、三つ揃わなくちゃいけない。どれがいいかなと選ぶのが大人ですから、例えば私がチョキ出しました。皆さん片手でグーを出して、もう一つの手でパー出します。私が出したもの以外を「はい」と声を出しながらですよ。ではいきます、“はい!”― 駄目だ、これは(笑)。体が動かないというのもここ、脳をちょっと刺激してあげればよろしいわけなんです。やっぱり元気な脳をつくれば体も元気になるし、前向きの姿勢になれるんです。ここが小さく隠れたようになってくると、やることなすことうまくいかないし、だんだん億劫になってきますので、ちょっといじめてあげてください。それが大事なのです。
では次いきます。真ん中の指を3本出します。次はこれをしまって、親指と小指で2本。“はい!”3本、2本、3本、2本…。― 「うまく動かねえや」と諦めちゃいましたね。でも、やはり脳を少しでもいい方向に刺激しておいてほしいんです。身体を動かす以外にもまだいっぱいあるんです。百マス計算してくださいとか、本を読む時に声を出して読んでくださいとか、そういうことが脳を刺激するんです。
ではいきますよ。柿、ミカン、バナナ、三つを言ってください。“はい!”― いいですね、よかった。だって、アルツハイマーになったら、たった三つのものでも言えなくなってしまいます。早い人は40代、30代、その辺から始まってくるんですよ。これからもしかしたら皆さんに訪れる痴呆、そういう事がだんだんわからなくなってくるんですよ。ここはどこですか?道新ホール。今日は何日ですか、自分の誕生日は言えますか、相方の誕生日覚えていますか、結婚記念日覚えていますか。「今日何の日だ」と言われて、「わかんねえ」、「結婚記念日でしょ」って大変なごたごたになっちゃいます。私なんか子供3人の誕生日がごちゃごちゃになって怒られます。そういうのをしっかりと覚えておくのも必要です。
それではこれから皆さんの脳がまだまだ元気であるかどうか。私たち脳の中に黒板があると思ってください。今日これをしなくちゃいけないと書くでしょう。その黒板がだんだん小さくなってきた。例えば、洗濯物を2階に干しておきました。天気が悪くなったので「洗濯物を取り込まなくちゃいけない」と階段をトントントンと上ったら、階段が汚れていた。「あら汚い」と掃除をはじめる。そうするとすっかりまえの洗濯物のことを忘れてしまう。そのように、一つのこと、新しいことが入ってくると、前にやろうとしたことが全部押し出されてしまいます。
皆さんもう何十年も生きているからいっぱい知識はあると思います。では、魚の種類を10種類言ってみましょう。“どうぞ!”― 「ううぅ」って止まっ てるけど、大丈夫?(笑)。続いて、野菜10種類言えますか。10種類を先に絵で見せてから違う話をして、そのあと先程出した10種類言ってみてください というのが一応認知症のテストです。そういうものがパッと出てこなくなってきます。要するに引っ張り出す、そういう繋がっている糸が細くなってくる んです。だからギューッと引っ張り出したらプツンと切れて、ああ何だっけかなということが多くなってくる。だから、いつもそういうものを引っ張り出 すこともやっておかなくてはいけない。
例えば赤と言ったら、赤をイメージするもの。トマト・ポスト、そういうのがぱっと出るかどうか。これは100歳のレベル。では「赤、青、黄色」…「信 号」とまとめて言わない。「赤…トマト」「青…空」「黄…バナナ」。ではいきますよ。“茶色、紫、黄色!”― いや、茶色、紫、黄色と言うのではなくて、茶色はサツマイモとかジャガイモ、紫はナス、黄色はバナナと、こういうのがトントンと出てこないと。皆さんの脳のなかにある知識をピッピッとピックアップして引っ張り出すのが衰えてくるから、「あなたどこで会ったっけ」、「名前…、確かね」と。「ま あいいや、顔知ってるんだから」とそれですんじゃうんです。そうではなく、先程言ったようにしっかりコミュニケーションをとるのにも、一言お名前を 添えると親しみが全然違うんです。「そうですよね、○○さん」。そしてよく握手をする。日本はなかなかこの握手をするという習慣が少ないですけれど も、握手していますか?いや、インフルエンザがうつるからしないとか言わずに、握手してください。でも握手を軽くフッと握るのは、相手に興味がない ですよということです。興味を持ってもらうためにはギュッと力強く握手する。だから、この間の選挙の時、議員候補は「よろしくお願いします」と両手 をつかんでしっかり自分をアピールする。その時に、ニコッと笑顔で。これも脳からの指令です。
それでは次やってみましょう。“はい!”パー、グー、チョキ、パー、グー、チョキ。では次はパーに勝つのはチョキ、チョキに勝つのはグー、グーに 勝つのはパー…。― 初めからあきらめない。できなくてもいいんです、脳を刺激するのは。それにチャレンジするというのがとても大事なんです。頑張っ てください。
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