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NO.9 |
動脈硬化の予防には
北大医学部付属病院 管理栄養士 佐藤 恭子
悪玉コレステロールをふやさない
野菜をたっぷり、赤ワインもおすすめ
近年日本人の死亡原因の第1位を占めるのはがんですが、第2位、3位は脳血管障害と心疾患で、合わせると圧倒的に血管障害の原因が、がんを抜いています。
動脈硬化症とくに狭心症や心筋梗塞の原因となる三大因子は高血圧、喫煙、そして高脂血症です。
私達の体には活性酵素(悪玉)を消去してくれる種々の酵素がありますが、食物から摂取するビタミン類をはじめ、抗酸化物質が活性酵素の害を防いでくれます。
酵素と抗酸化物が体内で不足しないように、活性酵素の過剰な発生を下げてやることが結果的に「がん」や「成人病の予防」「老化防止」につながります。
この目的を具体的に上げますと、
(1)過食にならない
(2)食事のバランスが良い
(3)抗酸化食品を積極的に摂取する(1)、(2)は適量で、食べすぎず、バランスの良い食事は正常な代謝の促進と、活性酵素の生成をおさえます。食べすぎは活性酵素を体内に増す原因にもなります。
(3)の抗酸化食品は、悪い働きをする活性酵素の働きをおさえる機能を持ち、積極的にとり入れることで体の老化を極力防いでくれます。
悪玉コレステロールの酸化を防止するためには
(1)ビタミンE、べーターカロチン、ビタミンCなどの抗酸化ビタミンが不足しない様に注意する。(図1,図3参照)(2)食品中の抗酸化成分(フラボノイド)が注目です。これは野菜、果物、お茶、紅茶、赤ワインなどに多く含まれていますが、抗酸化食品の代表は野菜です。(図2,図4参照)
野菜はビタミン類、ミネラル類を豊富に含んでいます。また食物繊維も多く含まれています。これが腸内の環境を良くし、間接的に活性酵素の発生を防いでくれます。
野菜にはビタミンC、ビタミンE、べーターカロチンといったすぐれた抗酸化物質をもち、緑茶にはカテキンという抗酸化で卓越した力を持つ物質が含まれています。
また、胡麻(ごま)の栄養もさることながら優れた抗酸化成分が含まれています。特にビタミンの多い食品は老化防止、成人病予防につながり、さらに抗がん性があると言われています。
フランス人はコレステロールの多い食事をしていますが心筋梗塞は少ないのは、赤ワインを飲み、野菜を良く食べ、オリーブ油を調理に使う食習慣の影響ではないかと言われています。
このオリーブ油は一価不飽和脂肪酸のオレイン酸で不飽和度が高すぎもせず、大量の抗酸化物質も含まれているため、安定性がとくに優れています。
このように、動脈硬化の予防には、悪玉コレステロール(LDL,VLDL)を増やさないこと、活性酸化させないことが大切です。そのためには抗酸化作用のある物質を含む食品を充分摂取することが大変重要ですが、過剰はいけません。ほどほどに、バランス良くとりましょう。