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NO.7

薬を正しく飲んでいますか?
(3−2)


食事と薬の相互作用

 「朝食を抜いている」「朝食をとらない」という場合の話を聞くと、朝は全く食べ物をとらない場合と、朝食といえるほどのものはとらないが、朝に牛乳やジュース等をカップ1杯程度はとっている場合とに大別されます。

 薬によっては食事の有無によって効果や副作用の発現に差があるものや、食事の代用としての飲料との相互作用が知られているものもあり注意が必要です。

 1、副作用発現の増大が考えられる薬

 アモキシシリンのような抗生物質・抗菌剤などは空腹の時の方が吸収率が高いため本来の薬効は期待できます。しかし、食後の服薬を行ってきた人が、急に空腹時に薬を飲むと血中の薬物濃度が上がり過ぎることがありますから、注意が必要です。

 高脂血症治療薬のニセリトロールは空腹時に服用すると胃酸によってニコチン酸(この物質が高脂血症に効くのですが)の放出が高まり急激に血中濃度が上昇するため、発赤・紅潮等の副作用が出てきます。

 インドメタシンやアスピリン、ジクロフェナクナトリウムなどは日常的に処方される抗炎症薬ですが、空腹時の服用で胃障害を生じますので通常は食後服用の指示が出されます。

 2、肝代謝により血中濃度が低下する薬

 食事をすることによって肝臓の血流量は上昇し肝代謝能は低下することが知られています。一方、経口投与された薬は消化管から吸収された後、門脈という血管を通って肝臓に一旦集められます。

 この時、一部の薬は肝臓で代謝(分解)され、残った薬が体循環へと入り薬理効果を表す臓器(病巣)に到達します。ここではじめて「薬が効いた」という症状の改善が見られるわけです。

 そのため、いつもは食後服用で薬の血中濃度をコントロールされている人が突然食事を抜くと、それまで摂食によってある程度押さえられていた肝臓の薬物代謝能が上昇し、薬物は余分に分解され十分な量が薬物作用部位に届かなくなることが考えられます。

 このような薬としては塩酸プロプラノロール、酒石酸メトプロロール塩酸ブナゾシン等の循環器用薬があります。

 3、薬を牛乳やジュースで飲むと?

 ミノサイクリンやテトラサイクリンのような抗生物質、鉄剤、リファンピシンは、牛乳やその他の乳製品に含まれるカルシウム、フェチン酸、タンパクなどによる影響を受けて吸収が低下します。そのため、これらの薬を服用する際には牛乳と一緒に飲むことは避けなければなれません。

 また、お茶やコーヒー、ドリンク剤に含まれるカフェインはアロプリノール(痛風薬)、テオフィリン(気管支拡張薬)の代謝を妨げるため、いつまでも薬が体内に残ってしまうことになります。

 お茶、コーヒー、紅茶には鉄剤と結合してしまうタンニン酸が含まれるため鉄剤を服用するときはこれらを避けることが必要です。ただし、お茶類と鉄剤のこうした相互作用は服用時間を1〜2時間程度あければ回避できます。

 このような飲み物と薬の組み合わせで最近注目されているものにカルシウム拮抗薬(心不全等の循環器用薬)であるニフェジピン、ニソルジピン、塩酸べラパミル、ニトレンジピンと、グレープフルーツジュースの相互作用が問題となっています。

 グレープフルーツの中に含まれるフラボノイド成分が、肝臓の薬物代謝酵素を阻害してこれらの薬の消失を遅らせ血中濃度を上昇させることがわかっており、薬物の中毒症状が発現することもあります。

 


  
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