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NO.6 |
ペースメーカー
(4−2)
心臓の電気現象
洞結節で電気的な興奮を生成、伝導
ではどのようにして心房、心室は収縮するのでしょうか?それは次の電気現象で説明されます(図1)。まず洞結節と呼ばれる生体内の電池が安静時には毎分50から100回の頻度で電気的興奮を生成します。この興奮が心房を伝導し、心房を収縮させます。その後電気的興奮は刺激伝導路(房室結節−ヒス束−脚)と呼ばれる一種の電線を介して心室に到達し、心室を収縮させます。
さらに洞結節は運動したり、感情的に興奮したりしたときには、100回以上の興奮を生成します。刺激伝導路もこの興奮をすべて心室に伝えることができますので、運動時には心室の収縮回数は100回以上に増加します。こうして活動量に見合った血液を送り出すために、心拍数は常に変化しています。
血液不足で息切れ、むくみ
もし、洞結節の興奮生成能が低下したり、刺激伝導路の電気伝導能が低下し、伝導が途絶えた場合、メインポンプの役割を果たす心室の興奮頻度、すなわち心拍数が低下します(図2)。洞不全症候群は洞結節の興奮生成が低下する病気です。
一方、房室ブロックは刺激伝導路の電気伝導能が低下する病気で、1度から3度に分類されます。1度房室ブロックは伝導時間が延長するもの、2度房室ブロックは伝導が時に途絶えるもの、3度房室ブロックは完全房室ブロックともよばれ、刺激伝導路が全く伝導能を失い、心房から心室に電気興奮が全く伝わらないものです。
洞不全症候群、2度以上の房室ブロックはともに心拍数が低下しますので、重症の場合には心臓からの血液の拍出が減少し、「物忘れがひどい」「めまい」「失神」などの脳の血流不足による症状や「疲れやすい」「息切れ」「呼吸困難」「むくみ」などのいわゆる心不全症状が出現します。

