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NO.16

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版 前編
― 動脈硬化を予防するための脂質異常症の新たな診断と治療方針 ―

(3/3)

札幌医科大学医学部循環器・腎臓・代謝内分泌内科学
矢野俊之氏


3 後期高齢者の一次予防
 図2に基づいた一次予防のリスク評価による目標設定は、75歳未満の人が対象です。75歳以上の後期高齢者の人を対象としたデータが十分にないことが原因です。
 そのため、治療するか否か、治療する際の目標値をどうするか、について担当医と相談の上、個別に考えて行く必要があります。
 特に食欲低下、筋力低下(サルコペニア)、認知機能低下(もの忘れ)がある人では治療目標の設定が難しいことがあります。例えば、筋力低下により日常生活に支障を来している人への厳格な 食事療法は現実的ではありません。

4 今すぐできる生活習慣の改善
 一次予防、二次予防、いずれにおいても生活習慣の改善が基本です。

(1) 食事 “おいしく健康に!”
○まずは規則的でバランスのよい食生活が理想です。さらに食べ過ぎない(腹八分目)が基本です。
○肥満のある人は、カロリー摂取量(kcal)=標準体重(kg)×25〜30kcalを目標にしましょう。
○野菜、果物、未精製穀類(玄米や大麦など)、海藻を多くとるようにしましょう。
○肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を少なくし、魚類や大豆製品の摂取を増やしましょう。魚卵はコレステロールと塩分が多いので注意が必要です。
○塩分は控えめにしましょう。1日6g未満が目標です。
○アルコールの摂り過ぎにも注意が必要です(日本酒なら1合、ビールなら1本、ワインならグラス2杯まで)。

(2) 運動 “笑顔で運動!”
○運動にはHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やし、トリグリセライド(中性脂肪)を低下させる効果があります。
 内臓脂肪を減らし、インスリンの効果があがってメタボリックシンドロームや糖尿病の予防・治療にも効果的です。ストレスを感じにくくなり、筋力を保つことができるため、QOLを改善させます。
○酸素運動が基本です。運動中や運動後に呼吸が“はあはあ”してしまう運動ではなく、“少しきついけど、笑顔でできる”運動を週に3回以上、1回に30分程度行うようにしましょう。ジムやプールで本格的に運動できればベストですが、手軽に今すぐ始められるのはウォーキングです。
 “週3回以上、できれば毎日30分以上歩く” が理想です。
 しかし、そうもいかない人も多いと思います。その場合、私はまず1日の歩行量を万歩計ではかってもらいます(最近はスマートフォンにも万歩計機能がついてますね)。1万歩を目標に足りない分を歩いてもらうようにしています。
 例えば、日常の生活で1日6,000歩程度、歩いている人は、追加で4,000歩程度、1日のどこかで歩く時間を作ってもらうように説明しています。買い物や仕事帰りに少し回り道をする、等の工夫で足りない分を補うのもいいですね。
○心筋梗塞、狭心症、心不全を既におこしている人はどの程度の運動までが安全かを主治医の先生に確認して下さい。


  
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