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講演  No37

しなやか血管、いきいき生活 〜コレステロールが高いといわれたら〜
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高コレステロールが引き金で動脈硬化に

高脂血症と診断される基準 どれくらいになったらコレステロールが高いといわれるのか。検診を受けると必ず総コレステロールが記入されています。最近は詳しい検診を受けると、LDLコレステロール、HDLコレステロールも一緒に測ることがあります。どういう段階から病気とみるかという学会での取り決めがありまして、総コレステロールは220、LDLコレステロールは140が基準になっています。これよりも高い値になると高脂血症と診断されます。HDLは良いコレステロールですので、多ければ多いほどよろしいのですが、下の基準として40があり、これよりも低くなると「HDLコレステロールが低い」となります。コレステロールと同じような項目にトリグリセリドがあります。中性脂肪と書くこともあり、コレステロールとは別の種類の脂肪で、これについても150という基準値が決められています。これらをひっくるめて、高脂血症かどうかが診断されるのですが、きょうは特にコレステロールについてお話を進めます。

 なぜコレステロールが高いとよろしくないのかという話に入ります。まず、患者さんはコレステロールが高くても症状がありません。コレステロールが上がってきたからといって、何か症状が出るわけではありません。高血圧でも症状がない人がたくさんいます。ただ、血圧が上がってきた時に頭痛がする人もいますけれども、コレステロールの場合には全然症状がありません。だからこそ、コレステロールが高いことによって起こる病気がどういうものであるか、よく認識しておくべきなのです。

狭心症・心筋梗塞・心不全

 コレステロールが高いと血管の障害である動脈硬化が起きます。それによって心筋梗塞、脳梗塞といった病気が起きるのが一番困ったことです。心臓に行く血管が完全に詰まって流れなくなると心筋梗塞。一時的に詰まる病気もあり、これは狭心症です。脳の血管が完全に詰まると脳梗塞です。いずれも命を落とすこともあり、循環器としては重症な病気を引き起こす危険性があります。このような段階に立ち至った時、コレステロールが高ければ治療して下げなければなりませんが、起きてしまった心筋梗塞や脳梗塞による損傷は、コレステロールを下げても、もう元に戻すことはできません。時計を反対に回すことはできません。このような病気は予防が大事だ、といわれる所以であります。

 動脈硬化がどのように起こるかを紹介します。これが心臓。この赤い部分が心臓表面の血管です。ミクロの決死隊のように血管内に入っていきましょう。血液の流れにのって白血球、赤血球、血小板が流れています。動脈硬化は血管の内細胞の障害から始まります。コレステロールが高い、あるいは血圧が高いと、この内細胞が障害され、最初に白血球が引っつきます。やがて内細胞の下にマクロファージが入り込みます。マクロファージは周辺の脂肪をどんどん食べて大きくなり、だんだん血管が中に向かって盛り上がってきます。これがプラークです。血管の中にこのような盛り上がりができるのが動脈硬化で、血管が狭くなってきます。しかしながら、これだけですと何も病気は起きません。

 血管の一番表層の細胞が剥がれると、血を固める作用のある血小板が急速に集まり、血栓という血の塊を作ってだんだん大きくなります。非常に早い勢いで大きくなり、血管を完全に塞いでしまうことがあります。これが動脈硬化から心筋梗塞、狭心症といった心臓の病気を起こす成り立ちです。心臓を栄養している血管が完全に詰まってしまうのが心筋梗塞で、一時的に一部が詰まってしまうのが狭心症です。このふたつが心臓を栄養する血管の動脈硬化によって起こる病気として最も重要です。

 コレステロールが高いだけでは全然症状がなかったのですが、心臓の血管の一部が詰まったり、完全に詰まったりすると、症状が出てきます。一番特徴的なのは、ちょっとした坂を登ったところで胸が押さえつけられる、または、締めつけられるような症状です。胸全体がギューッと圧迫されるような、絞られるような感じです。これが狭心症の典型的な症状です。心筋梗塞になりますと、それが非常に強くて、冷や汗が出てきたり、吐き気があったりします。心筋梗塞では通常30分から数時間続きます。大抵の人はそこで病院に行くのですが、お家でじっと我慢していたという場合もあります。このような症状が長く続く時は、仮に夜であっても休日であっても、救急で病院を受診していただくことが必要です。

 私どもが患者さんからお話を聞いた時に、胸の辺りがチクチクする、キリキリする、指1−2本の範囲がチクチクする、押さえるともっとそこが痛くなる、といった症状ですと、これは狭心症や心筋梗塞ではないというのが受ける印象です。どちらかというと狭心症ではあまりみられない症状ですが、症状だけでは診断がつきにくい場合がありますので、こういう症状があって、しかもコレステロールが高い、あるいは血圧が高い場合には、心臓専門の先生に受診することをお勧めします。

 心筋梗塞が起こると心臓に傷がつきます。壊死といって筋肉が一部分ダメージを受けますので、血管から始まった病気が、今度は心臓の筋肉の病気になってしまいました。そうしますと、心臓は血液を全身に送り出すポンプの役目をしていますから、ポンプの機能が悪くなります。これを、心臓のポンプ機能が悪くなった状態ということで、心不全といいます。心臓の血液を貯めるところは壷のように形なっており、これが伸びたり縮んだりして血液を全身に送り出します。これが心臓の収縮と弛緩で、体の外からは拍動として感じられます。

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