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NO.28

とかち健康フェア2003
肥満と生活習慣病 -肥満を科学する-
(7/8)



*何よりも膝のトレーニング

図5 よく減量やダイエットを扱う本に書かれているのは「運動しなさい。毎日やりなさい。そうすればいいんだ」です。ただ、運動不足の方がいきなり運動をやると、体をこわしてしまうことがあります。特にジョギングは、今まで運動をしていないで、いきなり毎日30分とかを走り出しますと、おそらく1か月で膝を壊してしまうと思います。ですから、ここでひとつ申し上げたいのは、体は運動不足を解消するために運動を必要としていますが、筋肉はその運動をするために十分な状態ではないということです。ランニングなどをすると、着地の瞬間に体重の3倍の荷重が膝にかかりますので、膝の回りの筋肉が十分トレーニングされていないとすぐに膝が痛みだすことがあります。

 実は私の経験からお話したいのですが、運動をしようとお考えの方は、まず膝の周りについている筋肉(大腿四頭筋)のトレーニングをすることです。これは簡単に出来ますので、もし、ウォーキンギやジョギングをしている方、あるいはこれから始めようという方がいましたら試して下さい(図5)。膝の下にクッションや座布団を入れて、膝を軽く曲げる。その後、曲げた膝をピッと伸ばす。伸ばした状態で10秒位おいて、また元に戻す。また10秒位伸ばして戻す。これを大体30回やって、これをワンセットとして一日2〜3回行う。一見すごく簡単ですが、実際にやってみると10回超えるとちょっと膝のまわりの筋肉が張ってきて、20回やるとへとへとになってきます。これを毎日やることによって、膝の強化訓練になりますので、皆さんやってみてください。

*BMI25⇒23の実践例

図6 肥満の治療の症例をひとつ挙げて、具体的なことをお話したいと思います。実は私、10年前は太っておりました。お腹に非常に脂肪が溜まっておりました。顎と首の境目もない状態でした。そのときに頑張って体重を落としました。そのためお腹も大分すっきりしました。その時、私は毎日体重を記録してグラフにしました (図6、左のグラフ)。この時はBMI 25から始めて23まで減りました。

 ここでお話したいのは、体重は階段のように下がっていくということです。この時は、私は20単位1,600 kcalの食事を約2か月続けたのですが、体重はすぐには下がりませんでした。ダイエットを始めて2日間不変で、3日目で逆に増えています。この時ばかりは私自身すごくショックでしたが、それでも頑張ってダイエットを続けた結果、ある日体重がすっと下がって、また3日間同じ体重でそのあとすっと下がる。このように体重は階段的に下がるもののようです。で、実は私、その後アメリカで生活していて、肉とかを食べ過ぎてまた太ってしまったため、それでまた、減量を行いました。そのときも同様の体重の減り方でした(図6 右のグラフ)。

 よく、ダイエットを始めて何日経っても体重が減らないので挫折してしまった、という方のお話をよく聞きますが、私はこういう体重の減り方を知らないために挫折してしまったのではないかと思います。人間の体というものは、食事を減らすとある期間はそれに抵抗しようとするようです。そしてある限度を越えると初めて体重が減っていくようです。ですから、ダイエット中に体重が減らない時期が続いても、今の自分の体はダイエットに抵抗している期間なのだと認識していただければよろしいのではないかと思います。私のダイエット中は、体重が変わらない時期はちょっと辛かったですが、減り出すとそれが励みになったし、体重が減るに従って気分もすっきりしてきました。ダイエット中は、普段あまり多くの食事ができないため、スーパーマーケットでおかずのコーナーを見るのが楽しみになりました。学生時代のズボンがはけるようになり、これは一番の喜びでした。

*食習慣を変えるのは相当なストレス

 ここで大事なことをお話したいのですが、食習慣を変えるのはかなりのストレスです。私の場合、2週間位してようやく、ダイエット食が当たり前になりました。このように、当たり前のように毎日食べている食習慣そのものを変えるのは非常に難しいことなのだ、ということを理解いたしました。

 ところで、私のダイエット中の食事は、普通に食べるとあっという間になくなるような食事でした。それで自然に、ゆっくり噛みながら食べるようになりました。子供の頃から親によく「ゆっくり噛んで食べないとだめじゃないの」と言われた意味がこの時になって初めて、ようやっと分かった気がしました。少ない食事量に対して食事時間を長くすることで、満足感を高めていました。実は後で知ったのですが、このゆっくり噛みながら食べることが肥満の防止にもなっていました。噛んだ刺激が満腹になったという信号になって脳に行くわけです。つまり、それほど多く食べていなくても、ゆっくりと噛みながら食べることによって早く満腹感になるわけです。

 急いで食べる方は、お腹がいっぱいになったという信号が脳に行く前にたくさん食べてしまいます。そのために肥満になりやすいのです。実際、このゆっくり噛んで食べるという方法は、「咀嚼(そしゃく)法」といいまして、この方法は肥満症の治療としても使われているそうです。一口食べて30回噛んでから飲み込む。これを1週間続けるだけで体重が2〜3s減った方もいますし、その結果、血圧が下がった方もいらっしゃるそうです。

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