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NO.28 |
とかち健康フェア2003
肥満と生活習慣病 -肥満を科学する-
(8/8)
*大切なのは動機づけ、時には褒め言葉も
ダイエットを続けるのはなかなか大変ですが、大切なのは動機づけです。ダイエットを続けるとどういういいことがあるかということを認識していただけると、やる気になるのではないかと思います。いろいろな事実をあげてみます。糖尿病で肥満のある方の場合、2〜4s減らすと糖尿病の薬を減らすことができる場合があります。高血圧で肥満の方の場合、体重が1s減ると血圧が1 mmHg下がると言われています。中性脂肪は体重が1s減ると50〜100mm/dl下がる方がいるそうです。膝関節症で膝が痛い方の場合、体重が4s減ると痛みが軽くなることがあるそうです。最近よく言われている「睡眠時無呼吸症候群」は肥満の方がなりやすいのですが、4s以上体重を減らすと、昼間居眠りすることが減ると言われているそうです。ですから、もしこれらの病気があって肥満の方は、肥満を解消するとこれだけいいことがあるということを認識していただきたいと思います。
減量をするというのは、辛い毎日になりがちですから、それなりに工夫する必要があります。ひとつには、いまお話しました動機づけ。肥満を治した結果としてこういういいことがある、と自分で理解する。それから私もやりましたが、自分の体重をグラフに記録する。これによって、自分の努力が目に見える形で出てきますので、辛くて挫折しそうなっても、それを見ることによって、また続けようという気になります。それからグラフをつけることによって達成感を得る効果もあります。
それから自分の減量を評価してくれる人を求める。血圧が高くてお医者さんにかかっている人でしたら、自分の体重の変化を記録したグラフを外来受診のたびに持っていって、自分の成果を見せる。我々医師はそういういいものを見た場合は必ず励まします。「こんなに体重が減りましたね。病気の方も良くなるかもしれませんね」―こう言われただけでも、ダイエットを続けている人にとっては励みになると思います。また、結婚されている方は、奥さんやご主人がダイエットをしてそれなりの効果があったら、必ず褒めてあげる。そういうひと言が非常に励みになって、ダイエットを続ける動機づけになると言われています。
*減量期間中、お酒は原則禁止
それからお酒については、原則、減量期間中は禁酒をしてください。と言うのは、お酒そのものはカロリーが高いからです。また、アルコールは食欲を刺激するので、お酒を飲むとダイエットに良くありません。ただ体重が減った後は、大体の方は普通の食事に戻られる方が多いのですが、飲酒の機会は控え目にしてください。どうしても宴会の時は飲んで楽しみたいという方については、宴会の前後2日位は、以前やったダイエット食にすれば、たとえ宴会で食べ飲み過ぎても、体には影響が少ないと言われているようです(これについては糖尿病などの病気がない方の場合に限ります)。
究極的に言いますと、なぜ肥満を治したほうがいいのか。歳をとって70、80歳まで生き、その間寝たきりにならないで元気な状態で一生を過ごしていくためには、やはり普段の生活習慣を改めながら生活していく必要があると思います。きょうの肥満の話がその一助となれば非常に幸いです。皆さんにはこれを機会に明日から自分の生活を見直していただければと思います。
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