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NO.18

心臓と不整脈
(5−4)



糖尿病について

表8 糖尿病の診断基準
1.空腹時血糖値≧126mg/dl, 75gOGTT2時間値≧200mg/dlのいずれかが、別の日に行った検査で2回以上確認される。
2. 糖尿病型を示し、かつ次のいずれかの糖尿病条件がみたされた場合は、1回だけの検査でも糖尿病と診断できる。
(1)糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
(2)HbA1C≧6.5%
(3)確実な糖尿病性網膜症の存在

 次に、生活習慣病のひとつでもある糖尿病について少しお話します。糖尿病のかつての診断基準は空腹時血糖が140以上でしたが、最近、空腹時血糖126以上を糖尿病と診断するように、基準が厳しくなりました。ブドウ糖負荷試験で2時間値が200以上というのは以前と変わらないのですが、ブドウ糖負荷をしなくても空腹時血糖が2回以上126以上の場合糖尿病と診断されます(表8)。

 糖尿病の典型的な症状は、口渇、多飲、多尿です。それから糖尿病は肥満の方に多いのですが、逆に重い糖尿病の場合には異化亢進のために体重が減る場合があります。

 糖尿病の大部分がII型糖尿病といいまして、複数の遺伝子が複雑に絡み合っていると言われていまして、それと同時に環境因子の影響が大きいと言われています。肥満、脂肪の摂り過ぎ、運動不足、ストレス、加齢は危険因子になります。

 糖尿病の方の血糖の目標値ですが、中高年の方は空腹時血糖は120、食後2時間値160を目標とします。一方、高齢者は空腹時で140、食後2時間で250未満を当面の目標とします。また、病院では糖尿病の方にヘモグロビンA1Cというものを測定していますが、これはグリコヘモグロビンと言いまして、ブドウ糖と結合する赤血球の成分です。過去1ヶ月から2ヶ月の血糖のコントロールを反映しています。血糖はある一時点の指標ですが、ヘモグロビンA1Cは過去1ヶ月のコントロール状態を反映していまして、7以下をまず目標とし、ご高齢の方は7.5未満をまず目標とします。

高脂血症について

 もうひとつの生活習慣病は、高脂血症です。高脂血症はコレステロールもしくは中性脂肪が高くなる病気ですが、コレステロール240以上、または中性脂肪150以上の場合、高脂血症といいます。また、血管からコレステロールを運ぶ善玉のコレステロールをHDLコレステロ−ルと言いますが、これが低いと動脈硬化になり易く、40未満の場合低HDLコレステロール血症といいます。高コレステロール血症の治療開始基準は、かつては220でしたが、最近はこの数値が少し緩和されまして240となりました。ただし心臓病とか糖尿病を持っている方に関しては、コレステロール値をより厳格にコントロールすることが勧められています。

 コレステロールは遺伝的にも規定されていまして、そこに高コレステロールへの促進因子と抑制因子が加わります。ラードとかバターとか動物性脂肪は促進因子、逆に青魚(いわしやさば等)は抑制因子になります。ストレスはコレステロールを上げる方向に働きます。肥満、運動不足は高脂血症の促進因子です。お酒は摂り過ぎると良くありませんが、適量ですと善玉コレステロールを上げる働きがあります。また、運動は善玉のコレステロールを上昇させる効果があります。

生活習慣の修正項目

表9 生活習慣の修正項目
1)食塩制限7g/日
2)適正体重の維持*
3)アルコール制限:エタノールで男性は20〜30g/日(日本酒約1合)以下、女性は10〜20g/日以下
4)コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
5)運動療法(有酸素運動)**
6)禁煙
*標準体重(22×[身長(m )]2 +20%を超えない
**心血管病のない高血圧患者が対象

 今までのまとめになります。高血圧の方に対する生活習慣の修正項目ということになりますが、塩分は7g/日が望ましく、適正体重の維持、運動量法、禁煙が大事です。お酒につきましては日本酒であれば1日1合、ビールであれば1日1本以下が望ましく、お酒を飲まない日をつくることも非常に大事です(表9)。

 運動について少しお話します。生活習慣病のある方は適度な運動をすることが望ましく、また健康な方でも運動すると生活習慣病の予防に良いとされています。運動の中では散歩が基本と言えます。歩くことによって気分がリラックスするという効果がありますし、肥満予防の効果と併せて、歩くということが長続きする運動として最も勧められています。では、どのくらい歩いたら良いかということですが、成人男性の場合は1日1万歩というのが目安になります。普段我々はどの程度歩いているかといいますと、全く家から出ない主婦の方で5,500歩くらい、マイカー通勤で平均3,500歩くらい、バス通勤している方は8,200歩位だそうです。お医者さんから運動の制限を受けていない方、糖尿病や高血圧で運動を勧められている場合には1日に1万歩を目指すといいと言われています。

 毎日歩くことが望ましいのですが、最初は週に3日くらいから始めるといいとされています。心臓病で制限を受けている方でなければ、週に3回、1回30分から少しずつ時間を増やし、体に無理がかからなければ1日1万歩を目標にすると良いと思います。それから、心拍数の目安もありまして、有酸素運動の範囲、無理のかからない運動を目指します。なお、望ましい運動量は、健康な方と病気を持っている方で違いがありますので、かかりつけのお医者さんによくお伺いして、どの程度の運動まで可能かのアドバイスをいただくことが大切です。


  
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