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講演  No.73

「元気な心臓を長持ちさせるためのヒント 〜大切な目標値と生活の工夫」

(2/2)


札幌医科大学名誉教授 北海道科学大学薬学部教授
三浦 哲嗣 氏



 長い距離を歩くことができる体にするためには工夫が必要です。日本は、現在60歳以上の男性の30%、女性の25%が肥満になり、非常に大きな問題になっている一方で、低栄養、痩せ過ぎの問題が出てきました。特に、高齢者のサルコペニア(筋肉減弱症)、筋肉の量が減り、力も弱くなること、は健康寿命を妨げる非常に大きな問題になっています。
 サルコペニアの予防はどうしたら良いかといいますと、まずバランスの取れた食事が大変大切になります。栄養状態というのは、サルコペニアの予防だけでなく、心不全の予防や心不全の治療でも非常に重要であることが分かっています。
 では、具体的にはどうしたら良いのか、この点についてまとめられたものに「低栄養を予防して老化を遅らせるための食生活指針」(表3)があります。
 そのなかでは、バランスのとれた食事を1日三食とるということ、動物性たんぱくを十分に取る、食欲がないときは、おかずだけでもちゃんと取るようにと書かれています。
 では、動物性たんぱく質をどれくらい取ったら良いのかということですが、少し多めにたんぱく質を取るという感じです。おおよそ体重1s当たり1日1g以上がめやすになるので、男性だと60gぐらい、女性だと50gぐらいです。少し頑張らないと取れないかも知れません。ただし腎臓が悪い人は、たんぱく質を制限しなければならないことがありますから、まず主治医に相談して下さい。
 たんぱく質をとるために便利なのが乳製品です。なかなか牛乳を飲めない方もいますが、牛乳のコップ半分、あるいは、チーズ1かけ、スライスチーズ1枚、あるいは、ヨーグルト1パックぐらいは、いつもの食事に朝夕追加できるのではないでしょうか。
 塩分の目安は1日6g〜7g未満ですから、1日3回食事とすると、平均して1回の食事で2g未満になります。例えば、朝食のメニューがご飯、煮魚とお浸しとご飯、それから、梅干しとみそ汁があると、これだけで6.8gぐらいの塩分になります。
 これを2gにしようとすると、煮魚を焼き魚に変えて、お浸しはそのまま、でもおみそ汁はやめる。梅干しもやめる。こんなような朝ご飯になります。
 血圧の管理には食生活が大変大切で、色々集計した結果では、1日の食塩摂取を4.6g減らすと、収縮期血圧、上の血圧で5ぐらい下がり、バランスの取れた食事にすることでも5ぐらい下がることが知られています。また、体重を4s減らすと5ぐらい下がり、運動の効果もそれくらい、つまり、塩分を減らしたり、減量したり、運動したりすることそれぞれに血圧を5ぐらい下げる効果があるとされています。
 私も自分で確かめてみました。124/84ぐらいであった血圧は、食事の塩分を減らすことで平均して3ほど下がり、カロリー制限と運動(通勤での歩行距離を1.4qから3.5qに増加)で体重を8kg減らすと、血圧は110/70程度に下がって今も安定しています。
 今日の目標のおさらいをしたいと思います。(表4)歩数として、60歳以上の方は6,000歩を目指してください。6,000歩にならなくても、それに近づけば近づくだけ死亡率を下げることができます。60歳未満の方は8,000歩を目指してください。これはもちろん体調が悪くても歩きなさいということではなくて、これくらい歩けるように、体調や体の故障を管理してくださいということです。
 それから、たんぱく質は体重当たり50sであれば50g、60sであれば60gぐらいが目標、これは少し計算が必要です。
 1日6g〜7g未満の食塩制限に加えて、歩くことや体重のコントロールで、血圧も120の80未満に近づけることができると思います。
 運動とたんぱく質と塩分制限で、血圧と体重をよく管理して歩けるような体をつくり、目標歩数に向かって歩く、それが今日お伝えしたかった元気な心臓を長持ちさせるためのヒントです。

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