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講演  No.70

心不全ってなんですか?

(4/5)


安斉 俊久氏 
北海道大学 大学院 医学研究院 循環病態内科学教室 教授



 いよいよ心不全の疑いが強くなり、より詳しく調べて治療を開始する場合は、心臓カテーテル検査を行います。この検査で、心臓の中の圧がどのぐらいになっているか、あるいは冠動脈造影という造影剤を流して血管が詰まっていないかを調べていきます。
 ここで心不全と診断された後はどうするのか。心不全でも、いかに小康状態を長く保ち、健康寿命を延ばすのか、そのために薬物治療を行います。
 まず、利尿薬。水や塩分を尿として出すことで体液の量を減らし、心臓の負担を減らします。
 それから、強心薬。この薬は、心臓の筋肉に作用して、ポンプの力を強め、脈拍をある程度抑える作用があります。特に、心房細動という不整脈を合併している方に使う場合があります。
 それ以外には、ACE阻害薬・アンジオテンシンU受容体拮抗薬、ARBや、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、これらの薬は血圧や体液を調整するホルモンで、これらの薬剤を使うことで、ホルモンの生成を抑えたり、働きを抑える、それによって心不全の悪循環からの離脱が可能になります。
 心不全の方では、交感神経を抑制する薬が重要になります。これがβ遮断薬で、心臓の働きを穏やかにし心筋自体を保護する、心拍数を減らす効果があります。
 薬物以外の治療もたくさんあります。先ほど適度な運動が重要だと述べました有酸素運動療法です。これは心不全の方の再入院を防いだり、生命予後改善の意味で非常に重要になってきます。
 酸素が低下してしまうような方では在宅酸素を使う場合もあります。
 ここからは非薬物療法のうち医療機器を用いた治療について説明します(図7)。

図7

 心臓の心室の左右の壁の動きがずれてしまっている場合に対して心臓再同期療法というペースメーカーを使いタイミングを合わせる治療をします。
 植込み型除細動器といって、ペースメーカーを小型化し、体に埋め込むという装置があります。万が一、危険な不整脈が起きたら、感知して正常なリズムに戻します。
 さらに、これは急性期に入院して使うものですが、補助循環装置です。大動脈内で風船を膨らませたり閉じたりして心臓の機能を助ける装置や、心臓と肺の機能を置きかえて、心臓から血液をくみ取ってきて人工肺で酸素化してまた戻すという経皮的心肺補助装置が緊急のときに対応します。
 また、心臓移植の適用になるような非常に重症な方には補助人工心臓を体の中に埋め込みます。それによって、移植まで3年程度の待機が可能になります。
 こういった医療機器を用いた治療以外に、手術による治療について説明します(図8)。

図8
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  講演   すこやかハート
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