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No61 |
病院のチームワークで脳卒中・心筋梗塞を予防する取組:北海道地域連携クリティカルパス
心筋梗塞の予防と再発予防
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三浦 哲嗣氏
札幌医科大学 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学 教授
きょうは、心筋梗塞の予防と再発予防についてお話させていただきたいと思います。三つの要点を挙げました。
まず最初に、心筋梗塞、脳卒中の現状がどんなところにあるか。次に予防には一次予防と二次予防があるわけですが、その考え方について。最後にクリティカルパスについてです。これは非常に聞きなれない言葉ですが、クリティカルパスあるいはクリニカルパスという言い方がありまして、この言葉の説明をさせていただきたいと思います。心筋梗塞、脳卒中の現状
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日本人の死因としてがんが重要だとよく言われますが、実は、心疾患が16%、脳血管障害が9%であり、この二つを合わせるとがんに匹敵いたします。
また、目を世界に転じてみますと、2012年の統計ですが、世界中の人たちがどんな病気で亡くなっているかというWHOの調査では、1年間で狭心症、心筋梗塞は740万人、脳卒中が670万人となっており、がんやエイズなど、いろいろとありますが、この二つが突出しています。ですから、世界では、毎年、心筋梗塞や脳卒中で約1,400万人が亡くなっており、血管の病気による死因が圧倒的に多く、全体の27.1%にもなります。(図1)
ところで北海道では2013年の狭心症と心筋梗塞で亡くなった患者の数は、男性10万人当たり約50人であり、47都道府県中25位で、日本の平均ぐらいです。最も多いのは、和歌山県や福島県です。北海道は、成績が特に良いということではなく、平均となっています。
65歳以上の方が今後どんな病気で亡くなるかをデータにまとめて、死亡確率を計算しました。
65歳の男性の場合、29%ががん、14.8%が心臓病、10%が脳血管障害であり、脳卒中や心筋梗塞を含めた血管の病気で亡くなる方が25%となります。75歳でも大体同じぐらいです。ところが、90歳になりますと、がんで亡くなる確率よりは血管の病気で亡くなる確率が高くなります。
これが女性の場合には65歳になると、がんで亡くなるよりも心臓病や脳卒中で亡くなる確率が高くなります。
したがって後期高齢者になると、がんも大事ですが、脳卒中や心筋梗塞の予防が非常に重要だということです。
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