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講演  No60

レジェンドジャンパー葛西紀明 努力と健康管理で掴んだ銀メダル

(5/8)


鈴木 章氏

葛西紀明氏
土屋ホームスキー部監督兼選手



 そして98年の悔しい長野オリンピックが終わって、その年の春にまた悪いことが続きます。勤務していた地崎工業の経営が悪くなり、スキー部は廃部になりました。その次に入ったマイカルというショッピング会社も、3年間やらせてもらったのですが、経営破綻をしてスキー部がなくなってしまいました。2000年前後は日本もすごく不況な時期で、いろいろな企業のスポーツ部がなくなりました。
 そんななか、スポーツ部をつくってくれるような会社はなく、非常に不安に思っていたときに、土屋ホームさんが2001年にスキー部をつくってくれました。この土屋ホームのためにも、やはり恩返しをする気持ちで成績は出さなきゃいけないと思っていました。2002年のソルトレイクオリンピック、2006年のトリノオリンピック、そして、2010年のバンクーバーオリンピックと3大会ずっと出場しましたが、メダルまで届かず、成績も出せないなか10年以上もスキー部を支えてくれた土屋ホームには本当に感謝しており、絶対に成績を出して、メダルをとって恩返しをしなければいけないと思っていました。
 98年以降は、日本潰しのルール変更がありました。背の低い日本人には不利な、スキーが短くなるというルール変更で、それ以降は毎年ルールが変わっています。スキーの長さは身長プラス80センチです。今では自分の身長掛ける1.46という面倒な方式です。そして、ワンピースでは、生地の厚さ、生地のサイズ、5ミリでも大きいと失格になります。そして、通気性は、40%以下の通気性だと失格になります。また前が40%の通気性、後ろが50%というように前後が違うと失格になります。そして、スキーは、一番太いところで11.5センチです。これ以上太いと失格になりますし、重さも大体2.5キロぐらいですが、これが2.5キロ以下だと失格になります。たくさんのルール改正の中、僕たちがそれに合わせてどんどん進化していかなければならず、2002年から今回のソチオリンピックまでずっと改良を重ねて、ジャンプも変えていかなければなりませんでした。
 どんどん進化していって、ようやく、ソチオリンピックでは日本チームが世界のレベルに追いつくことができました。僕にとっても今までの6大会のオリンピックは、自分が合わせていきました。でも、今回のオリンピックだけは、自分に合わせてきているなという感じがありましたので、開会式も無理を言って出させてもらいました。
 ノーマルヒルの試合ですが、残念ながら、8位にとどまりメダルには届きませんでした。しかし、ラージヒルまでは1週間ぐらいあいていましたのでこの間、本当は練習や選考会があったのですが休みました。ジャンプというのは、体が疲れるよりも頭の中が本当に疲れるのです。スタート台に座って、風の状況や、自分がやらなきゃならないアプローチの姿勢、目線、重心の位置、お尻の位置、タイミング、方向、パワー、こういうものを全部考えて飛んでいます。ですから、3本飛んだら結構疲れます。自分の中ではジャンプがかみ合っていたので、飛ばなくても体が覚えている、勝手に動くと信じていました。ですから、練習でも飛ばなかったですし、飛ばないことが頭をクリアにしてくれたのではないかと思っています。僕は常にリラックスしていこうと思っていたので、それがうまく的中したと思っています。
 女子のノーマルヒルの試合も見に行きました。沙羅ちゃん、有希ちゃんの試合を見て、沙羅ちゃんがほぼ100%金メダルをとれるという状態であり応援をしていたのですが、残念ながら、4位という結果に終わってしまいました。これは、オリンピック前にいろいろな試合に出て、少し疲れもたまっていたのではないかと思います。沙羅ちゃんの勝ちパターンは、昨シーズンのワールドカップでもそうでしたが1本目に断トツに飛んで、2本目は逃げ切りという格好です。しかしオリンピックでは、1本目で3位でした。国民の期待を背負って、2本目は絶対にいける、自分はいけるという自信が全て変なふうに重なってしまい、残念ながら、メダルに届かなかったのではないかと思います。僕も19歳からオリンピックに出場して、そういった経験があったなと女子のオリンピックを見ていて思い出しました。だから金メダルをとったドイツの選手や、メダルをとれなかった沙羅ちゃんを見て、自分でもいろんなシミュレーションをして、こういうときはこういうふうになるのだ、喜べる人、喜べない人を見て、自分に重ねて、僕がラージヒルでは何をしなきゃいけないかということを全部イメージして挑んだのがラージヒルの個人戦でした。

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