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講演  No59

長寿のヒント

(5/7)


長谷部 直幸氏

長谷部 直幸氏
旭川医科大学 循環・呼吸・神経病態内科学 教授



 さて、皆さんの心臓は一日何回動いているかご存知でしょうか。私の話を以前聞いたことがある方は覚えておられるはずですが休むことなく一日10万回動くのです。心臓は収縮と拡張を10万回繰り返し、ギュッと縮んで血液を身体に送った時が上の血圧、心臓が伸びて膨らんだ時が下の血圧です。血圧がずっと一定なことはなく、「怒ったり」「泣いたり」した時は血圧は上がり、夜寝ている時は下がります。血圧は上がって下がってあたり前ということを知っておいていただきたいと思います。

 ここで心臓のおもちゃを持ってきたので司会の三上さんに手伝ってもらい実験をしてみます。血圧が高いことがいかに悪いかということを患者さんに理解していただくのに使います。このおもちゃが伸びて縮んでいる心臓だと思って握っていただきます。
どうでしょうか。

三上「結構かたいですね」
長谷部「結構、力が要るでしょう」
三上「そうですね。両手を使ってやっと押せるぐらいですね」
長谷部(べつのおもちゃを手渡す)「それではこれはいかがですか」
三上「あっ!これはやわらかいです」

 実は、最初に押してもらったおもちゃの心臓が血圧160に相当し、これを押そうとすると結構力が要ります。つぎのおもちゃが血圧120に相当し、こんなに楽に押せるのです。一日10万回も動く心臓を大事にしようと思ったら、血圧が高いとまずいことがおわかりいただけたと思います。

 さて、血圧をどこまで下げるべきかというと、現在のガイドラインは75歳を境にしてできています。まず75歳までは診察室での血圧を「140/90」、家庭での血圧は「135/85」を目標としています。つぎは75歳以上の超高齢者といわれる方の場合は「150/90」と少し高い値を目標としています。しかし超高齢者の中にも元気な方とそうでない方があり、後者を「虚弱高齢者」と言います。
 虚弱高齢者については、歩行能力を見てみると6mを7.5秒で歩けるかどうかで、生存率が異なることがわかってきました。大事なのはここです。7.5秒以上かかってもゆっくりとなら歩ける方は血圧が140以下にしたほうが長生きすることがわかりました。しかし歩けない、あるいは寝たきりの方は血圧が140以上あったほうが生存率は高くなるというデータがでました。そうすると誰も彼も血圧を下げればよいのではなく、虚弱な高齢者の方はその人にあった血圧の治療が大事であるということがわかります。まず家庭で血圧を測ってもらいたいと思います。今や血圧計は一家に一台という時代ですが、これから血圧計を買われる方は是非上腕で測る血圧計にしていただきたいと思います。なぜなら手首は血圧を測るのに向かない場所だからです。

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  講演   すこやかハート
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