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講演  No59

長寿のヒント

(4/7)


長谷部 直幸氏

長谷部 直幸氏
旭川医科大学 循環・呼吸・神経病態内科学 教授



 ところで日本人は何が原因で死ぬのでしょう。この図(図1)は2007年の日本人のデータをもとに、死ぬ原因と発症する病気の割合をグラフにしたもので、断トツは、なんといってもタバコです。これで年間12万人が死んでいます。タバコは、がん、心血管病、COPD、肺気腫などを起こし肺を壊してしまいます。続いて多いのが高血圧です。だから日本人を長寿にさせるには、タバコをやめることと高血圧をコントロールすることが一番大事です。
 長寿者の特徴の三番目は「血圧が低めの人が多い」です。そもそも高血圧の何が悪いかというと、まず動脈硬化を起こします。そうすると次に血管が目詰まりを起しやすくなり、最後は脳卒中、心筋梗塞、腎不全を発症してしまいます。ですから高血圧をなんとかしなければならないのです。
 ところが今年の4月に、人間ドック学会が高血圧の基準を「147/94」でいいのではないかというメッセージを発表しました。そうするとマスコミがそれに飛びつき、あっという間に日本中に広まってしまいました。そうすると患者さんは「うちの先生は140/90以下にしなさいと言っていたような気がするが、今度は緩くなったんだ」と思うようになりました。
 そもそも一年に一回しか行かない人間ドックで、健康な人の血圧が「147/94」でしたということに何の意味があるのかと我々は人間ドック学会に抗議をして、この主張を完全に引っ込めさせました。
 しかし一度新聞や雑誌で世の中に広まった誤りを正すのは簡単ではありませんので高血圧学会ではこのようなポスター(図2)をつくりました。「147/94」に大きなバツをつけて、これでは駄目です。世界の高血圧基準は「140/90」ですと訴えました。イラストで患者さんが「先生、私の血圧は147/94ですから、全く心配ないですよね」と言って先生が困っているうしろでサイレントキラーの高血圧が「しめしめ心筋梗塞と脳梗塞も呼んでやろう・・」という事態になるのです。
 心血管病が将来起こる確率というデータがありまして「120/80」を1とすると、「140/90」を超えた高血圧の方では、心血管病が3倍起きやすくなります。そして「160/110」では6倍、「180/120」になると9倍も心血管病が起きやすくなるので、「140/90」を超えないようにしましょうと世界的に認められて出来上がった基準なのです。

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