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講演  No59

長寿のヒント

(2/7)


長谷部 直幸氏

長谷部 直幸氏
旭川医科大学 循環・呼吸・神経病態内科学 教授



 ところで世界には色々な医学調査がありますが、約3万人の「健康長寿」の方を調査した結果があります。それには五つの特徴があり、まず肥満の人はいない。二番目は、たばこを吸う人がいない。三番目は、血圧が低めの人が多い。四番目は、脈は遅めの人が多い。五番目は、老後も働いている。今日はこの五つの特徴にそって話します。
 最初は長寿者に「肥満の人はいない」という話です。肥満により21世紀のアメリカ人の寿命は短くなるという論文が2005年に発表されましたが、日本の調査でも男性は全年代で肥満に向かっています。では女性はどうかというと20代は右肩下がりでどんどん痩せていきます。まちの中を見ますと、あのジーンズをどうやって履いたのだろうという痩せた女性が増えています。ところが30代になると横ばいとなり、40代からは「もういいや」という感じで右肩上がりに転じ、50代、60代になると肥満の方が多くなります。
 このように日本でも肥満が問題となり「メタボ」という考え方が出てきました。2006年に厚労省が「生活習慣病を招くメタボに注意しなければならない」ということを発表しました。これは、肥満、特に内臓肥満が背景にありますと高血圧、糖尿病、脂質異常ということが起こりやすくなり、それらが積み重なって最後には動脈硬化を起こすからです。人間の体の中は、頭のてっぺんから足の先まで水道管がはりめぐらされるように動脈が走っており、これが少しづつ目詰まりを起こしやすくなるのが動脈硬化です。目詰まりを起こすと脳であれば脳卒中、心臓であれば心筋梗塞、腎臓であれば腎不全になります。このような状況を招いたおおもとは肥満であるということなのです。
 この肥満と闘うには、まずは体重を測ります。体重は家庭だけでなく、外来でも測ります。そして私と患者さんで目の前の数値を確認します。これを毎回やりますので、特に女性には大変不評です。もうヤケクソで体重計に乗る患者さんに教えていただいた一句が「体重計 そっと乗っても デブはデブ」でした。
 お互いに数値を確認するというのは、大変な抑止力になります。私が外来で体重を測るのは、肥満だけ気を付けているのではありません。心臓、腎臓、内臓が悪くなると「むくみ」が起きて、それが体重に反映されます。だから、前回より体重が増えた場合にはどこか悪くなっていないか気付くきっかけになるのです。
 肥満には内臓脂肪蓄積型と皮下脂肪蓄積型の2種類があり、このうち内臓脂肪のほうがいろいろな悪さをします。たとえば内臓周辺に蓄積する脂肪は代謝が盛んで、血液中の脂質濃度を高める原因となります。またインスリン抵抗性といって、すい臓から分泌されるインスリンの働きを悪くします。さらに、脂肪細胞からは血圧を上昇させる物質が分泌されます。それらの悪循環により脂質異常症、糖尿病、高血圧を招くので、メタボには注意をしなければなりません。
 脂肪に関して、内臓脂肪は普通預金、皮下脂肪は定期預金と言われることがあります。これは内臓脂肪は崩しやすい、つまり使いやすく、皮下脂肪はなかなか崩れないということです。例えばダイエットをはじめても指で摘まめる皮下脂肪はなかなか減らないので、もういいやと諦めてしまいがちですが、実は目で見て判りづらい内臓脂肪から先に減っている事が実証されています。だからこのことを信じてダイエットを続けることが重要だということをお伝えしたいと思います。

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