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講演  No57

講演 患者さんのための循環器受診ガイド
〜気をつけたい症状とは?〜

(4/6)


筒井裕之氏

筒井 裕之氏
北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学 教授



表3

 つぎは心筋梗塞です。心筋梗塞の場合、何といっても、胸をぐっと押さえつける症状が強く、冷や汗とか吐き気を一緒に伴っていきます。比較的軽い動作や安静時でも起こり、持続時間が長く、30分以上続きます。安静にしてもなかなかおさまらないので多くの方はこの時点で病院に行かれます。また、我慢強い方がおられて、一晩中我慢しているうちにおさまったという場合があります。これは、酸素が行かなくなって心臓の筋肉がだんだん壊れ、生き残っている心臓の部分が少なくなったため痛みを感じなくなったのです。ですから、そうなる前に治療をしたほうがいいわけです。また、狭心症の場合ですと、狭心症の発作があるときに、ニトログリセリンという舌の下で溶かす薬や、スプレーを使っていただくと、すっと2、3分でおさまりますが、心筋梗塞になると、以前は効いていたこの薬があまり効かなくなって、ずっと痛みが続きます。これは狭心症の方が心筋梗塞になったときによくあるパターンです(表3)。

 ただ、我慢強いということではなく、症状が比較的軽い場合があります。その一つは高齢者です。高齢者は、症状が出にくい場合や、あったとしても比較的軽いことがあります。また、心筋梗塞を1回すると2回目の心筋梗塞の場合、症状が最初ほどあまり強くないことがあります。そして、今、一番問題になっているのが糖尿病の患者さんで、糖尿病のため神経障害が起こり、痛みを感じにくくなります。糖尿病をお持ちの患者さんは、心筋梗塞を非常に起こしやすいのに症状が非常に軽いことがあるので注意が必要です。

 ところで、心筋梗塞かもしれないのに、病院に自分で車を運転して来る患者さんがいますがこれは絶対によくありません。心筋梗塞が起こった最初のころは、不整脈が非常に起こりやすく、痛みが我慢できたとしても非常に危険な状態なのです。こういう場合は迷わず、救急車を呼んでください。

 さて、病院に行くと、心臓の血管が詰まっているかもしれませんので心電図をとり、採血をし、心臓の超音波検査をします。その結果、確かに急性心筋梗塞となると、心臓の血管が詰まっている可能性があるので、すぐに血管造影検査、冠動脈造影を受けていただきます。造影検査で血管が詰まっていることがわかりますと、そのまま治療を行います。どういう治療をするかというと、冠動脈という血管が完全に詰まっている場合、風船を膨らませて狭くなっているところを広げます。最近は、広げるだけではなくて、狭くなったところを風船で広げて、血管の中からステントという針金でさらに広げて狭くならないように補強をする治療をします。血管が詰まると、その間、心臓の筋肉の障害がどんどん進みますから、できるだけ早くこの治療をします。最近は多くの循環器専門病院でこういう治療ができるようになりました。

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