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講演  No56

心臓病予防の肝腎かなめは腎臓にあり
〜心臓病と腎臓病の深いつながり〜

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三浦 哲嗣 氏

三浦 哲嗣 氏
札幌医科大学 医学部 内科学第二講座 教授



 ここで、一番新しい話題についてちょっとお話したいと思います。3種類以上の薬を使っても血圧がなかなか下がらない、いわゆる治療抵抗性の高血圧があります。それについて、最近、腎臓の神経を除神経するという治療法が行われるようになりました。

 ごらんになった方がいらっしゃるかもしれませんけれども、道新にも札幌医大など11病院で治験が始まるという記事が出ていますので、ちょっとお話ししたいと思います。

 これが腎臓で、ここは大動脈で、ここは腎臓に行く腎動脈です(図2)。そして、白く筋のように見えるのは神経ですが、腎臓に向かって動脈の周りに神経が走っています。

図2 腎臓の構造と働き

 これは何をしているかというと、腎臓の血流であるとか、どれくらい塩分を再吸収するかといったことを調節しています。治療抵抗性の高血圧の患者というのは、こういう腎臓の神経が高血圧を悪くする、あるいは、高血圧を維持するようなことに働いているのではないかという仮説のもとに、この神経を切ってしまおうと。

 しかし、外科手術でお腹をあけて切るのではなくて、カテーテルを使って動脈から管を入れ、細い電極のカテーテルというのがありますが、それをその中に通して、高周波を通電することによって血管の中から血管の外の神経だけ焼いてしまおうという治療です。具体的には、カテーテルを入れて、2.5ミリメートルぐらい間隔でカテーテルをらせんのように何回か回しながら通電します。

 患者にとって物すごく楽な治療というわけではないので鎮痛剤を相当使わないといけませんが、4カ所から6カ所に通電してこの神経を焼いてしまうという治療です。

 そうすると、どうなったかといいますと、24カ月後ですが、上の収縮期血圧が大体20ぐらい、下の血圧が10ぐらい下がりまして、このように慢性的に除神経の長期効果が得られました。

 これは、薬だけでは非常にコントロールできない人、先ほどお示ししまたしたが、3種類以上の血圧の薬を飲んでも上の血圧が160以上という重症な高血圧の患者を対象にしたものです。

 160以上の血圧をほうっておけば、前半でお話ししたように、腎臓がやられてしまうのは間違いないです。そうすると、腎臓だけではなくて、心臓病にもなって、両方の病気で寿命が短くなります。それを、薬がだめであればこういう治療法を選択できるのではないかということです。

 あくまでもまだ試験的なものですが、これは、今、日本で使える唯一の機械です。9月にヨーロッパの学会に行ってきましたが、非常にたくさんやられていて、このカテーテルもどんどん改良されています。ですから、将来的には、もう少し広く、重症の者だけではなくて、中等症などの症例に使われるようになるかもしれません。今後の研究の結果によってどうなるかはちょっとわかりませんが、非常に期待の持てる治療だと思います。

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  講演   すこやかハート
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