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No56 |
心臓病予防の肝腎かなめは腎臓にあり
〜心臓病と腎臓病の深いつながり〜
(8/8)

三浦 哲嗣 氏
札幌医科大学 医学部 内科学第二講座 教授
これは、最後のまとめのスライド(表1)です。
今日お話ししましたのは、慢性腎臓病というのは、糖尿病や高血圧と同じく自覚症状がなくても心臓病や脳卒中を起こしやすくする危険因子であるということです。
これまで、慢性腎臓病というのは、血圧が高いので腎臓が悪くなると、高血圧の単なる結果だと思われておりました。
しかし、実は、腎臓を悪くすると、心臓病を促進させる原因の一つになることがわかってきました。
この慢性腎臓病は実に成人の8人に1人と非常に多いのですが、やはり定期的な検査をしないと早期発見にはつながりませんので、これは、ぜひやらなければいけないと思います。
そもそも慢性腎臓病を予防するためには、高血圧や糖尿病の予防であり、既にそうなっている場合には減塩や減量が重要だということです。そして、こういったことを、日々、再認識して、こういう危険因子がどこまでうまくコントロールされているかということを見るためには、単なる血圧手帳ではなくて、健康手帳というものでこういう要因をすべて網羅し、すべての危険因子がどのくらい管理されているかということを認識することが重要です。
そうして一般療法、薬物療法について主治医あるいは看護師などの医療関係者と相談していただいて、少しでも目標に達するように努めていただければ幸いだと思います。
長時間にわたり、ご清聴をどうもありがとうございました。(拍手)
座長・筒井裕之先生(北海道大学大学院 医学研究科循環病態内科学教授)
三浦先生から慢性腎臓病という病気についてご紹介いただきましたが、この病気は、腎臓単独の病気ではなくて、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と非常に密接に関係していて、心臓病の原因にもなっているのだということを教えていただきました。
皆さんこれから、血圧や血糖などと同時に、三浦先生からご紹介いただいた腎機能、BUN、クレアチニン、eGFRといった数値やたんぱく尿などにも目を向けていただいて、慢性腎臓病も生活習慣病の一つとして予防や治療に気をつけていただければと思います。
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