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No56 |
心臓病予防の肝腎かなめは腎臓にあり
〜心臓病と腎臓病の深いつながり〜
(5/8)

三浦 哲嗣 氏
札幌医科大学 医学部 内科学第二講座 教授
今、どういう考え方で高血圧の診療をしているかといいますと、簡単に言えば、血圧以外にどれくらいコレステロール、中性脂肪、尿酸、血糖、クレアチニンとか尿たんぱくといった要因が重なっているかということを見ているわけです。
そこで、治療の目標というのは、家庭血圧で、130の85、診察室血圧で140の90です。若年の場合には血圧をより低くしましょうということになっています。
それから、心筋梗塞後の方であるとか、こういうリスクの高い方には降圧目標を低目に設定して、より厳格に治療しましょうということになっています。
それは、例えば、糖尿病であるとか、慢性腎臓病であるとか、それから、心臓病や血管の病気を一度起こしている人たちは、血圧が140の90以下であっても実はリスクはもう既に高い、そういう評価をしましょうということが考えにあるからです。
そこで、高血圧の管理の目標としては、まず血圧をはかって、病歴を聞いて、身体所見をとって検査を行います。
また二次性高血圧を除外するのは、腎臓の血管の病気であったり、あるいは、ホルモンの病気で血圧が高い場合です。ですから、主に外科手術によって治療できたり、薬物だけではない治療が必要となるようなものについて除外します。
一番多い本態性高血圧と言われる、複数の要因によって起こる高血圧と判断された場合には、次に、今お話ししたような危険因子について、高脂血症であるとか、コレステロールが高いか、あるいは糖尿病と合併しているか、それから、臓器障害といいますのは、きょうお話ししている腎機能障害があるかどうか、心筋梗塞を一度しているかといったようなことをチェックします。
こういった合併症を評価して、まず生活習慣の修正を指導します。これは、次にお話ししますが、減塩であるとか運動というような内容です。
ここで、低リスク、中等リスク、高リスクという分類をいたします。血圧がどれくらいのレベルにあるか、危険因子が何個あるか、どういった危険因子があるかということについて、余りリスクが高くない人からリスクが高い人まで分類をします。
リスクが余り高くない方の場合には生活習慣の指導を3カ月くらいやります。3カ月くらい指導しても血圧が下がらなければ薬を入れましょう。
中等度リスクの場合には、 3カ月は待たないで、1カ月くらい様子を見て、だめであれば薬を入れましょう。
高リスクの場合には、リスクが高い人はとにかく直ちに治療を開始しましょうという方針になっています。
ここで挙げた1カ月であるとか3カ月というのはあくまでも目安ですので、担当医は個々人によってそれぞれ個別の判断をすると思います。
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