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No45 |
大切な人を突然死でなくさないために
〜あなたに救える命があります〜
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心臓突然死を起こす危険な不整脈 心室頻拍と心室細動
ではこの心臓突然死というのが一体どういう原因で起こるのかという事ですが、その88%は不整脈によると言われています。今日お見えの皆さんの中にも「不整脈がある」と病院で言われたり、実際に不整脈として治療を受けておられる方もいらっしゃるかもしれません。それでは自分も突然死してしまうのかとご心配になるかもしれませんが、不整脈には非常に色々な種類のものがあります。この中で心臓突然死をする危険性が高いと言われているのは、心室頻拍と心室細動という二つの不整脈で大体70%近くを占めています。多分、今日お見えの方の中には不整脈と言われていても、このような重症な不整脈、命を落とす危険性のある不整脈というものをお持ちの方は、極めて少ないと思います。
心室頻拍、心室細動というのは不整脈の種類の名前です。心室頻拍は心室細動という不整脈に移行して、命を落とすと危険性が非常に高い不整脈です。ここで不整脈を皆さんに御理解頂くためには、心臓の働きをどうしてもご説明しなくてはいけません。心臓は四つの部屋からなっています。その四つの部屋を作っているのは心臓の筋肉です。この筋肉を動かすためには電気が必要です。電源はちゃんと心臓の中に埋め込まれています。電気が出ますと、心臓の心房と呼ばれるところに電気が流れ、中継基地を通って心臓の筋肉の中を走っている電線に電気が流れるわけです。そうしますと心臓の筋肉がその電気に反応してギュっと一回縮みます。そして、中に溜まっている血液が全身に向かって送り出される。心臓というのは、このように電気で動くポンプであるわけです。
この心臓の中に流れる電気を記録しているものが、皆さんが検診などで撮る心電図というものです。心電図には、小さい波、尖った波、大きな波と大きく三つ波がありますが、この様に電気が流れると心臓が一回ギュっと縮む。これが心臓の電気の流れとポンプとしての動きであります。ちょっと難しい話になりますが、心電図の心臓の拍動をみると、ちょっと違う形の波があります。こういうものを期外収縮と言います。このような不整脈をお持ちの方はこの会場の中には沢山おられます。この期外収縮は心臓に病気がなくても、私も含めてほとんどの方にむしろあると言っても良い位の不整脈です。期外収縮は心臓に病気が無い方の場合ほとんど害が無いと言われています。ところが2番目を見ると、この青い正常な心臓の拍動の後に赤いトントントントントンと、青いのとは形も違ってちょっと悪そうに見えますが、こういう不整脈を心室頻拍と言います。ところがこれは6回続くだけで、また正常な脈に戻っています。こういうものですとあまり症状がないこともあります。しかし注意をしないといけない不整脈はここからです。これは6回で止まっていますがこの下を見ると、ずーっとこういう不整脈が続いています。これを心室頻拍と言います。そして1回1回の脈の間の間隔が短いという事は非常に脈が早くなっているという事を表しています。
そして心室細動ですが、正常な心臓の拍動とは全然違うギザギザの心電図になっています。まったく形が不規則になっています。これはもう殆ど心臓としては正常な機能ができない状態です。非常に恐ろしい不整脈で、これは数分以内に心臓が停止をしてしまう前に出てくる不整脈です。心室頻拍と心室細動、これらが心臓突然死を起こす危険な不整脈という事になる訳です。したがって不整脈があるというだけで皆さんが心臓突然死を起こすという事ではありません。不整脈の中に色々な種類があって、こういう危険な不整脈が心臓突然死に至るという事です。
今お話した事をもう一回繰り返しますと、心臓というのは全身に血液を送るポンプの役目をしています。規則正しく動いているうちは全然問題が無いのですが、心室細動では心臓が痙攣を起こしたように無秩序に動いて、心臓本来の働きが出来なくなってしまう、数分以内に死に至ります。こういう不整脈が心臓突然死の原因になるわけです。
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