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NO.11

生まれつきの心臓の病気を持った
子どもたちが大人になったら
― 成人先天性心疾患のお話し ―(後編)

(3/4)


北海道立子ども総合医療・療育センター
横澤 正人氏


<成人先天性心疾患の重症例A:手術不能例>

 「先生、折り入って相談したいことがあるんだけど…」私の職場(循環器科)の元上司で現在は一般小児科を開業しているC先生から突然の電話が来ました。
 相談されたのはD君、29歳、男性、診断は肺動脈閉鎖、心室中隔欠損、主要大動脈肺動脈側副血行路という重症の先天性心疾患です(図4)。

図4

 肺動脈弁が閉鎖し、肺動脈が無く、大動脈から数本の側副血行路という異常血管が出て左右の肺に流れこみ肺動脈の代用をしています。
 右室と左室の間の壁に心室中隔欠損という大きな孔が開いており、大動脈がその孔に乗るような形で出ています、右房からの静脈血は右室に入りそこから大動脈に出ていきます。左房からの赤いきれいな動脈血は左室に入り、これも大動脈に出ていきます。
 静脈血と動脈血が混じった血液は大動脈を介して全身に流れると同時に異常血管を介して肺にも流れます。チアノーゼが常時見られ、現在でも治療が難しい先天性心疾患の一つです。
 基本的には3回に分けて手術をしますが、最後の手術まで辿り着くケースは決して多くはありません。30年前の北海道では手術不可能なため本人は東京の病院を紹介され、初回の手術を受けましたが、条件が悪くて2回目の手術に進むことができませんでした。
 その後は今の私の病院に通っていましたが、C先生が開業した時、どうしても同じ先生の所に通いたいとのことでC先生の医院で治療を継続することになったそうです。先天性心疾患の患者さんと家族は生まれた時からずっと主治医と苦楽を共にすることになりますので、主治医の先生が変わることに非常に臆病というか難色を示します。
 さて、D君ですが、しばらくの間はずっと落ち着いていました。しかし重症の先天性心疾患で最終手術(根治手術)を受けられなかったケースは、ある年齢までは比較的落ち着いた状態で経過しますが、ある年齢を境に急に状態が悪くなり、それが加速度的に進行します。


  
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