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NO.11

心臓血管病と食事療法 - 糖尿病

(2−1)


天使大学 看護栄養学部栄養学科教授
伊藤 和枝さん


 糖尿病は、高血圧と共に動脈硬化の危険因子であり、糖尿病性大血管障害により心臓や脳、手足の大血管に障害が起こり、心疾患(心筋梗塞・狭心症)、脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)、下肢の血管障害を引き起こします。また、細小血管障害が進み、網膜や腎臓、神経などの細い血管が徐々に傷つけられ、網膜症、糖尿病性腎症、神経障害などの合併症を引き起こします。高血糖は、血管の内膜を傷つけ、血中の脂質が沈着し、侵潤してプラークをつくることにより血管の内腔狭窄が起こり、血流が悪くなり血管を詰まらせて、心筋梗塞・脳梗塞を起こすことになるのです。糖尿病は、糖尿病で無い人に比べて動脈硬化を10年早く進展させると言われており、心血管病の予防・治療に糖尿病の管理は非常に重要です。  
 糖尿病は血液中のブドウ糖である「血糖」が慢性的に高い病気ですから食事と密接な関係があり、食事療法が治療の基本です。

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 健康な人の場合、食事、特にごはんやパン、いも、菓子などに多く含まれる炭水化物を取ると、一時的に血液中のブドウ糖〈血糖〉が高くなり、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、インスリンによってブドウ糖が肝臓や筋肉の細胞に取り込まれ、エネルギー源として使われます。その結果、血糖が空腹時の正常値にまで下がります。通常、血糖値は食後30分位で最も高くなり、2時間から3時間で食前の血糖値に戻ります。

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 血糖が高くなる原因には、インスリンの作用障害とインスリン分泌障害があります。肥満や運動不足によって脂肪細胞が増えるとインスリンの働きを悪くする物質(TNFα)が分泌されインスリンの働きを悪くします。また、加齢や体質的にインスリンの分泌量が少ない場合や、インスリンが分泌されるタイミングが遅くなる高脂肪食摂取では、高血糖の状態が続きます。糖尿病は、空腹時の血糖が高いだけでなく、75gブドウ糖負荷試験後の2時間値が高い場合、即ち血糖の取り込みが悪い場合にも糖尿病と診断します。
 糖尿病の発症には、体質的素因が関わっており、日本人は欧米人に比べてインスリンの分泌能が低いと言われ、歴史的に低脂肪・高繊維食で、多くのインスリンを必要としない食事であったことが考えられます。近年の食生活の欧米化による高脂肪食では日本人のインスリン反応が対応しきれずに糖尿病の発症に繋がっていると考えられています。

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  糖尿病の予防と治療は、血糖上昇を抑えるための食事療法と、インスリンによる筋肉への血糖の取り込みをよくする運動療法の両方が必要です。



  
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