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NO.5 |
きつさの指標
(2−2)
■24時間ホルター心電図
どんな運動中でも正確に心拍数を知るとなるとやはり心電図ということになります。不整脈などを心配して病院に行くと 時間ホルター心電図というものをつけられます。これは電極という小さなワッペンのようなものを胸にはって心電図をとり、それを腰につけたテープレコーダに24時間分ためこむというものです。
これだともちろん日常生活の歩いている時でも寝ているときでも心拍数がわかります。ジョギングする人ならつけている時にやってみるといいのです。ただし結果はまた24時間後に病院にもどって一式を返してコンピュータの分析をしてもらわないとわかりません。すなわちリアルタイムではわかりません。同時につけた日誌からどのようなことをしていた時に心拍数がどれくらいであったかがわかります。しかし結構な厚さの24時間の心電図記録のコピーをお医者さんからもらわなければ詳しいことはわかりません。
この方法は心電図そのものの波形が記録されるので、運動にかぎらず、日常の生活の中で胸が苦しい、不整脈がおきている気がするなどという時にはとても威力を発揮する検査です。そのような時は迷わず受けてみましょう。
歩く走るであれば負荷心電図といって、心電図をつけてトレッドミルという動く歩道の上を歩いたり走ったりすることで、どれくらいのスピードで自分の心拍数がどれくらいかわかります。しかし自然に行うランニングの状況とはかなりちがったものになります。
■運動中に心拍数がわかる装置も
最近原理的には同じ心電図方式ですが自分でその場で(リアルタイムに)運動中に心拍数がわかるものが販売されています。胸にベルトを軽く巻くような形になります。実はこのベルトの内側に、その人の心電図をとりだす電極が埋めこまれていて心電図信号をとってくれるのです。
といっても心電図波形をだしてくれるのでなくてその数(心拍数)を正確にはかってくれるのです。そしてそれを無線で手首につけている腕時計型受信機に送ってくれます。その時計のパネル上に心拍数が刻々と表示されるのです。ベルトを肌の上に直接巻かなくてもTシャツの上からでも大丈夫です。汗が出てくるとシャツにしみて電気を通すようになるからです。走っている時などは上体も振動するし雑音がはいって不正確になるような気がしますが、全くそのようなことはありません。ジョギングなど運動をしている時はもちろんですが出勤時につけていったりしても面白いものです。
私が使ってみた結果を示します。普通に歩いていると100/分(50%)、速足にすると115/分(67%)、5階まで階段を上りきると130/分(76%)、縄跳び直後138/分(80%)でした(括弧内は自分の最大心拍数に対する%です)。
もちろん階段、縄跳びなどは数分以上続けて行ういわゆる定常運動にはなっていないので、実はもっと心拍数の増えるかなりきつい運動となります。通常の平坦な道を歩いている限りでは、現状維持が精いっぱいでなかなか体力のレベルアップにはなりにくいこともわかるでしょう。
このようにこれを使うと自分の日常動作での心拍数が手にとるようにわかります。自分が感じている運動のきつさ、息づかいと心拍数の関係がわかってきます。
■自己最大心拍数をきっちりつかむ
さて少し前に述べましたが心拍数の解釈には自分の最大心拍数が必要です。自分の最大値に対してどれくらいかが、運動のきつさの目安になるからです。平均的には220マイナス年令が予測値です。 50歳ですと220-50=170と予測されます。しかし特に中年を過ぎると実際に測った値が予測値から大きくはずれることが珍しくありません。15/分くらいはずれる可能性があるとみていいでしょう。
トレーニングに適切な心拍数はその人の最大心拍数の70-85%といわれています。50歳で予測通りの170/分ならトレーニングの範囲は119-145/分となります。実際にはかってみて185/分なら130-157/分となります。155/分なら109-132/分となります。ずいぶん解釈がちがってくるでしょう。
何か始めるならメディカル・チェック、体力チェックもかねて最大運動負荷試験を受けて自分の最大心拍数をきっちりつかんでおきましょう。
運動中の心拍数がわかると運動の動機づけにもなり運動が面白くなります。トレーニング強度の決定、トレーニング効果の判定などにも力を発揮します。私は数年前、アメリカスポーツ医学会に行った時に会場で六千円程度と比較的安く手に入れました。一般の人でも手に入れることができます。スポーツショップで扱っているかもしれませんが確認していません(確実なところでは日本ではキャノントレーディングが輸入元で、札幌では日本光電が扱っています。ハートレートモニターが商品の名称で一万二千円程度の価格です)。


