一般財団法人 北海道心臓協会

トップページ
すこやかハート
トピックス
講演
「○○○」といわれたら
循環器疾患の危険因子
心臓・血管病Q&A
セミナー参加報告
心血管病の治療最前線
心臓・血管病の危険因子
循環器疾患診断法・最近の進歩
ストレスと循環器
血管とその病気
運動と健康
心臓・血管病と闘う人たち
心臓・血管病予防の知識
医食同源
北海道心臓協会編集委員
入会のお願いとご案内
賛助会員の皆様
フリーイラスト集
「すこやかハート」100号記念
心臓協会20年間のあゆみ
事業計画・予算と事業報告・決算
リンク
お問合せ・健康相談はこちら
道新オーロラネットへ戻る
NO.3

増える肥満
(1−1)


札幌市中央健康づくりセンター長 医学博士 西島宏隆

■背景に生活様式の変化

 近年、肥満と肥満に最も関係している疾患といわれる糖尿病が増えている。肥満はカロリー摂取と消費のバランスできまってくるはずであり、事実、運動と食事療法は肥満治療の原則である。プレンティスは英国でのデータからここ40年間肥満が増えてきている原因を分析している(図1)。

 それによるとカロリー摂取は、肥満の増加に伴って増えてきているわけではなく、自動車の数やテレビの鑑賞時間、すなわち身体活動の低い時間が増えていることが示されている。生活様式の歴史を考えると十分うなずけるデータである。

■肥満程度の測り方

 さて、札幌市中央健康づくりセンターの札幌市民のデータはどうであろうか。その前に肥満程度をどうやってはかるかについて説明する。

 現在世界中で一番標準として使われている方法は体格指数(BMI:Body Mass Index)である。これは昔からいろいろな式によって計算されてきた身長と体重の比の一種である。実際の計算方法は次の通りである。

 BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)である。例えば体重70kg、身長160cmとすると

BMI=70÷1.60÷1.60=約27.3となる。簡単でしょう。正常値の範囲の真ん中がBMI=22となるので27.3は27.3÷22×100=約24%の肥満となります。男女ともにBMIで判定すると、やせ<20、普通≧20〜24、過体重≧24〜<26.4、肥満≧26.4となります。自分のBMIを計算してみましょう。

 巷(ちまた)にはいろいろな体脂肪計があふれていますが、それらはほとんど電気インピーダンス法を使ったもので、それがいま説明したBMIより肥満の程度をあらわすのに良いというデータはありません。

■運動増えるほどBMI減少

 では図2の札幌市民のデータを見てみましょう。運動習慣が増えるほどBMIが減少しているのが分かります。もちろん原因か結果か、というところはこのデータからは分かりませんが、お互いに関係したものであることは間違いなさそうです。

  始めに肥満と一番関係している内科の病気は糖尿病だと書きましたが、図3,4に見るようにBMIが増える程どんどん空腹時血糖(FBS)が増加しているのがわかります。もっとBMIを細かく分けても検討してみましたが、傾向は同じで、BMIがどれくらいのところから血糖が増加しはじめるのか、境界値のようなものは全くありませんでした。

■高血圧、高脂血症に悪影響

 次に肥満と関係のある内科の病気は高血圧といわれています。図5を見てみましょう。収縮期血圧(SBP)はBMIの増加とともにほぼ直線的に増えています。肥満は他の高血圧にかかわる運動不足、食塩摂取などの生活習慣と比べても最も高血圧に悪いものです。

 高脂血症との関係を見てみましょう。善玉(HDL)コレステロール、中性脂肪との関係(図6,7)はほぼ直線的です。肥満になるほど善玉コレステロールは減って、中性脂肪が増えます。総コレステロールとの関係は図8のようになっています。

確かにBMIが増えると総コレステロールも増加するのですが、正常値を超えたところで頭打ち現象が見られます。まだ分からないところがあるのですが、やはり食事の量とともにその内容が悪玉コレステロールの増加には重要な意味を持っているようです。

 肥満の予防、治療にはどんな運動が良いのでしょうか。秘密の方法があるわけではありませんが、手っ取り早い方法はウォーキングでしょう。次回で取り上げたいと思います。



  
(一財)北海道心臓協会 〒060−0004 札幌市中央区北4条西4丁目 (株)伊藤組内 TEL 011-241-9766
(C)Hokkaido Heart Association. supported by Doshin Access Co., Ltd.