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NO.3 |
心エコー法
(2−2)
狭心症の診断がベッドの上で可能 負荷エコー
心臓を立体動画像で観察 3次元エコー
狭心症は一般に、胸痛発作時に起こる一過性の心電図変化を確認することで診断が行われます。ところが、発作のないときの検査では、多くの場合心電図や心エコーでも全く異常が認められません。
そのため、 24時間の携帯心電図(ホルター心電図)で自然に起こる発作を捕らえたり、 発作は運動中に心臓に負担がかかって誘発されることが多いので、 あえて階段昇降やベルトの上を走るような運動をしてもらい、その時の心電図変化を確認することが広く行われてきました(運動負荷心電図)。
しかし、心肥大や不整脈などでもともと心電図波形に異常がある患者さんや、あまり運動のできない患者さんでは診断ができません。
薬物負荷心エコー(写真上 エコーと同時に血圧、十二誘導心電図をモニターしながら施行)は、ベッド上で心臓の動きを観察しながら、薬の点滴によって心臓に負荷をかける方法で、狭心症発作がおこると心臓の一部の動きが悪くなるので、もともとの心電図異常にかかわらず、また運動のできない患者さんでも狭心症の診断をすることができます。
また、この方法では、動きの悪い心臓が、心筋を栄養する血管(冠動脈)を手術などで開通させることにより、収縮を回復できるかどうかを予測することも可能です。
心筋内の微小な血液の流れも観察可能 コントラストエコー
現在のエコー装置で得られる心臓の断面像から、頭の中で立体的なイメージをふくらませることは、専門家にも難しいものです。
しかし、コンピュータ技術の進歩により、特殊な装置を使えば心臓の動いている様子が立体的に観察できるようになってきました。(写真左 僧帽弁逸脱症―左房側に突出する僧帽弁を左房側から観察)
現在のところは、普通に見られる断面を少しずつずらして得られたデータをもとに、後で画像を再構成して立体画像としてみる方法が一般的ですが、リアルタイムで立体画像が得られるような試みも進行中です。
立体像を見ながら検討すると、医療スタッフや専門的知識の乏しい患者さんへの説明が容易となるだけではなく、手術が必要な患者さんでは、外科医が術前に手術方法をイメージトレーニングするのにも役立ちます。
おわりにエコーでの観察中、極めて小さな気泡を血管内に注入すると、血液の流れ方を見ることができることは、以前から知られていましたが、最近新しいエコー用造影剤が登場しました。
エコー装置の進歩とこの新しい造影剤の登場により、普通の検査室の中で心臓の筋肉を栄養する微小な血管に血液が流れているかどうかをみることが可能となりつつあります。
心筋梗塞や狭心症のように動脈硬化などが原因で心筋への血の流れが悪くなっている状態が、外来でも手軽にわかるようになることが期待されています。
心エコーは、他に、手術室で心機能のモニターや心臓手術のガイドとして使用されたり、病気の原因究明や治療の研究のために用いられるマウスなどの非常に小さな動物の心臓の観察にも用いられています。
今後も単なる検査法にとどまらず、基礎的研究や、他の検査法、治療手技とも組み合わされて、ますますその応用範囲は広がっていくでしょう。

