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NO.17

最近の糖尿病診療の話題(前編)
〜カロリー制限だけではない糖尿病の食事療法〜

(1/2)

札幌医科大学 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座
講師 矢野 俊之 氏


 従来からの糖尿病治療の目標は、血糖、血圧、脂質代謝(コレステロールなど)の良好な管理に加え、適正体重の維持、禁煙などライフスタイルをより良くすることにより、糖尿病の合併症(眼、腎臓、神経、血管、脳、心臓など)の発症・進展を阻止し、健康な糖尿病のない人と変わらない生活の質と寿命を確保することにより、「健康な人と変わらない人生」を送ることでした。治療法の進歩によりこの目標は部分的に達成されてきています。
 一方で、新たな問題が浮上してきました。その一つがフレイル・サルコペニアです。「健康な人と変わらない人生」を送るためにはフレイル・サルコペニアに対する理解と対策が重要になるため今回のテーマとしました。

1 .フレイルとは?

 フレイルは、「加齢に伴う予備力の低下のために、ストレスに対する回復力が低下し、要介護状態や死亡に陥りやすい状態」として定義されています。要介護の一歩手前の状態と考えていただければ分かりやすいと思います。つまりフレイルを放置していると身体機能や活動度が低下し、要介護状態になってしまいます。
 また、フレイル状態の人では疾患を発症した時のその後の経過が悪い(つまり、再入院や死亡が多い)ということが明らかになっています。そのため、フレイルにならないようにする、なってしまったらその段階でフレイル状態から脱出することが大事になります。
 一般的にフレイルと呼ばれているのは体の問題が中心で、身体的フレイルと呼ばれています。
 しかし、フレイルには認知機能障害による精神的フレイルや独居による孤立などの社会的フレイルがあり、現在はすべてをまとめてフレイルと呼ばれています。フレイルの状態にあるか否かの判定方法として、自分でも評価が可能なわかりやすい方法があります。図1を参照してください。
 特に「ダイエット」などしていないにもかかわらず体重が低下するのは体が消耗している重要なサインです。がんや慢性炎症性疾患に加え、重い心疾患(心不全など)でもみられます。
 長い経過で体重の減少があったら主治医の先生にご相談ください。

図1

2.サルコペニアとは?

 「高齢期にみられる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能(歩行速度)の低下」と定義されています。簡単にいうと、筋肉が減って力が入らない・動けない状態をさします。年齢とともにサルコペニアが進みますが、慢性疾患があるとその傾向が顕著になります。糖尿病や心不全はその代表的なものです。
 筋肉量が減ると力が入らなくなる・動けなくなるというのはイメージが湧きやすいと思いますが、それ以外にも悪影響があります。筋肉は血液中の糖を取り込んで利用しています。筋肉量が減ると糖の取り込みが悪くなり、血糖がさがりづらくなります。
 つまり、糖尿病になるとサルコペニアになりやすくなりますが、サルコペニアが糖尿病を悪化させることになります。
 慢性的な炎症やホルモンの変化がサルコペニアの発症に関係していますが、低栄養や運動不足といった私たち自身が改善できる原因もあります。
 サルコペニアの状態にあるか否かの判定方法として、自分でも評価が可能なわかりやすい方法があります(図2)。

図2


  
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