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NO.13

不整脈のカテーテルアブレーションについて
( 1/3 )

札幌医科大学医学部 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座
下重 晋也さん


はじめに

 不整脈という病名を耳にすることも多いと思いますが、「不整脈ってどんな病気でしょうか?」と聞かれて即答できる方は少ないと思います。
 病気をひと言で表現しますと、高血圧は「血圧が高い」病気、糖尿病は「血糖値が高い」病気となりますが、不整脈は「心臓の脈が・・」、よく分かりません。
 それもそのはず、不整脈には多くの種類があるのでひと言では言い表せないのです。
 本来「不整脈」という言葉の意味は、「脈が不整である」、つまり「脈がばらつく」ことを意味しますが、何と「脈が規則正しい(整脈の)不整脈」もありますので実にややこしい話です。
 脈が遅い不整脈もあれば、脈が突然速くなる不整脈もあり、更には脈拍数が全く正常な範囲にある不整脈もあります。
 また、無症状のものもありますし、失神や突然死を引き起こす非常に危険な不整脈もあります。
 現在の不整脈の治療は大きく分けて、@薬物療法、A経皮的カテーテル心筋焼灼術(以下、カテーテルアブレーション)、B植込み型デバイスの3 つがありますが、それぞれの治療法に長所と短所があります。
 患者の皆様も、年齢や合併疾患、社会的事情、価値観、人生観なども様々ですので、それぞれの患者様に最も適した治療法を選択して、あるいは組み合わせて提案しています。
 今回は、そういった不整脈治療のひとつであるカテーテルアブレーションについてご紹介したいと思います。

1 カテーテルアブレーションの歴史と原理

 カテーテルアブレーションの歴史は偶発的な事故から始まります。検査中に電極カテーテルから直流除細動(いわゆる電気ショック)の電流が流れてしまい、正常伝導路が傷害される合併症が生じたのです。
 これはあくまでも事故でしたが、「この現象を不整脈の発生部位に応用することにより治療を行えるのではないか」という着想がなされ、そこから不整脈治療の歴史が大きく動くことになります。
 1981年に直流通電を用いたカテーテルアブレーションの世界第一例目が報告されましたが、これは危険性の高いものでした。現在の高周波を用いたアブレーションは1986年に報告され、その優れた治療効果と高い安全性から急速に普及し、当施設では1992年に第一例目が施行されました。
 当初は対象疾患も一部に限られておりましたが、他の不整脈も原因の解明がなされ、電極カテーテルの改良や診断装置の高性能化も進み、現在ではほとんど全ての不整脈疾患に対してカテーテルアブレーションが可能となっております。

2 カテーテルアブレーションの手順

 カテーテルアブレーションで治療すべき部位を正確に同定するためには心臓電気生理学的検査(EPS)という検査が不可欠です。
 この時点で診断が正確に行えないとアブレーションは的外れの治療となりますので、EPSは非常に重要です。アブレーション後もうまく治療できているかを確認するのにこのEPSを行いますので、実際の当日の流れは、「EPS(術前)→カテーテルアブレーション→EPS(術後)」の順序で進みます。


  
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