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講演  No37

しなやか血管、いきいき生活 〜コレステロールが高いといわれたら〜
(4/4)



治療方法はいろいろありますが…
生活習慣病は、何よりも予防です

 コレステロールが高くならないように予防しましょう、とお話してきましたけれど、万が一、動脈硬化から心筋梗塞になられても、ご安心いただきたいと思います。我々がどういう治療をやっているかをご紹介します。心筋梗塞になられた場合、最初にお話したような症状があった時に、できるだけ早く受診していただくのが肝心です。そうしますと、我々は心臓の血管を造影して、どこが詰まっているのかをまず診断します。その検査が心臓カテーテル検査です。手や脚の付け根の血管から、カテーテルという2o位の管を、局所麻酔をして、心臓の近くまで入れて造影します。血液が流れている血管は写真に写し出されますが、心筋梗塞の患者さんは、ここでぷっつり切れております。これから先にも血管があるのですが、ここで血液が完全に途絶しているということです。こういう患者さんには、血管の中に管を通し、金属でできた網状のステントというもので内側から裏張りをし、狭くなった所を拡げる治療をします。これで詰まっていた血管がまた流れ出します。血液が途絶すると、どんどん心臓の筋肉がダメージを受けますから、できるだけ早くこういう治療、冠動脈インターベンション、を受けなければなりません。それに引き続いて、血管がまた狭くならないように、いろんな薬を飲んでいただくことになります。

 心筋梗塞からさらに心不全という心臓の動きが非常に悪くなった時に、我々はどうするかといいますと、やはり薬で治療します。たくさんいろんな薬を飲まなければならなくなります。薬の量が増えてきます。患者さんの心臓の状態によって薬の組み合せを考えていく、ということが我々の仕事になります。最近は、薬だけではなかなか十分に治療ができない重症心不全の患者さんの治療に、器械を使うこともあります。ペースメーカーという不整脈を治療する器械に似ていますが、脈を増やすのではなくて、心臓の打ち方、収縮が非常に悪くなった時に、出来るだけ正常に近づけようとする治療です。これを心臓再同期療法とか、両心室ペーシングといいます。全ての患者さんにこういう治療がいいわけではありませんが、非常に重症な心不全の患者さんが、非常によくなる場合があります。

 不整脈も問題ですが、非常に軽いものから重症なものまでいろいろあります。最も重症な不整脈は、高円宮様がスカッシュをしている時に突然亡くなられた心室細動です。不整脈も治療が必要ですが、これもまた、先程の心不全と同じく、我々は薬でまず治療をします。大抵の患者さんはこれでうまくいきますけれども、高円宮様のように、重症な不整脈が起こった場合にどうするか。この場合には、命が危なくなってきます。脳の血液がその間途絶しますので、脳の障害がどんどん進行します。これはもう何分という単位であり、出来るだけ早く蘇生させなければなりません。そのためのひとつが、自動体外式除細動器(AED)という器械です。アメリカでは空港の至る所に置いてありますし、飛行機の中にもあります。最近は日本でも飛行機などに置くようになりました。北大病院の待合にも用意してあります。街中などで人が急に倒れ、その原因がこの重症な不整脈であった場合、このAEDで市民の方が治療することが認められるようになっております。さらに、埋め込み型の除細動器をペースメーカーのように体に埋め込んでおくと、重症な不整脈で突然亡くなったりすることを防げるという治療もあります。

 皆さんに高脂血症、高血圧等々を予防していただき、心筋梗塞、心不全、不整脈などにならないようにしていただくことが、何よりも大切なことですが、私ども循環器内科医としては、もし、そういう病気になれば全力で治療に当たりますし、重症心不全、難治性不整脈といった場合には、高度な医療を提供できるようにしています。私は北大病院に属しておりますが、スタッフと共に、そういった患者さんの治療に一生懸命頑張っております。これからも、道内の多くの医療機関の先生方とも連携して、皆様方のお役に立てる医療をやって参りたいと思っております。

 生活習慣病は、何よりも予防です。これは皆さん方ご自身ができることです。是非、お努めください。

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