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NO.18

心臓と不整脈
(5−1)


講演中の佐藤伸之さん

旭川医科大学第一内科助手 佐藤伸之

不整脈の症状について

 最初に今日の主題であります「不整脈」につきましてお話しいたします。不整脈とは、心臓の拍動が速すぎたり、遅すぎたり、乱れたりする状態をいいます。不整脈の症状は多種多様でして、動悸以外にも色々な症状が出現します。胸部不快感、脈の抜ける感じ、喉が突きあがる感じなどのほか、重症な場合にはめまいや失神をもたらします。また、突然、普段の2倍以上の、速い脈になり数分から数十分経つと元に戻るということもあります。また、最近家庭用の血圧計が普及してまいりましたが、自動血圧計で脈を測れず、脈がバラバラであることにより気づく場合もあります。

 不整脈の症状としては動悸が一番多いのですが、動悸はあくまで自覚症状でして、階段を上ったり小走りしたりすると、誰でも動悸を感じます。安静にしていて突然動悸が始まったり、脈が抜けたりする場合に不整脈の可能性を考慮する必要があります。

 それでは、不整脈すべてが心配かと言いますと、そうではありません。実は私も24時間心電図を試しに行ってみましたら不整脈がありました。自分で感じたこともあります。不整脈には心配のないものも多々ありますが、患者さんは心臓がドキッとしたり、脈が抜けたりすると「心臓が止まってしまうんじゃないか」と不安感に駆られて病院に来られます。しかしながら、明らかな心臓病がない場合や、不整脈の数の少ない場合には心配のない場合が多いのです。医者側からみて治療が必要なものはなめまい、失神というような症状の強いもの、突然始まって、ある一定の時間速く脈を打つような発作性の頻拍、あとでお話する心房細動という不整脈です。

 繰り返しになりますが、不整脈の代表的な症状は動悸ですが、重症な場合はめまいや失神を伴います。もちろん、めまいや失神は耳鼻科の病気や、脳血管障害、貧血、血圧が上がり過ぎた場合や降圧薬などで血圧が下がり過ぎた場合にも起こります。

表1 不整脈の種類
 動悸
 腹部不快感
 めまい
 眼前暗黒感
 失神

 以上、不整脈の症状をまとめますと、動悸、胸部不快感、めまい、そしてひどい場合には失神ということになります(表1)。

 

 


不整脈の種類

 心臓の模型、模式図を示しますが、不整脈は、心臓本来の電気の通り道、刺激伝導系以外の場所から興奮が発生することにより生じます。

 不整脈は通常より速い脈(頻脈性不整脈)と遅い脈(徐脈性不整脈)に大きく分けられます(表2)。

表2 不整脈の分類
1.頻脈性不整脈
   上室性不整脈
      心房性期外収縮
      発作性上室性頻拍
      心房細動
      心房粗動
心室性不整脈
    心室性期外収縮
    心室頻拍
    心室細動
2.徐脈性不整脈
   房室ブロック
   洞不全症候群
  

 頻脈性不整脈の中にはドキッとする、心臓のしゃっくりとも言うべき期外収縮というものから、ドンドンドンドンと速く拍動する発作性頻拍というものまであります。一方、遅い方の不整脈には房室ブロックや洞不全症候群というものがあります。徐脈性不整脈の中で、めまいを起こす方には人工ペースメーカーが必要になる場合があります。

 2、3、不整脈の実例を示します。心房性期外収縮は、不整脈の中で最も頻繁にみられるもののひとつですが、脈がポンと速く打つ、早期に予定外に心臓が拍動するということで期外収縮と言います。この不整脈は数が少なかったり、基礎心臓病がない場合にはあまり心配ありません。

 先に挙げたものは心房から出た不整脈ですが、異常興奮が心室から出た場合は心室性期外収縮といいまして、心臓が1回不調和な収縮を起こし脈が抜けた形になります。患者さんが血圧計で脈を測って「先生、脈がすごく少ないみたいだ」としばしばおっしゃる場合がありますが、実際に脈が少ないのではなく、不整脈が出た分だけ1回脈が測れない形になっています。これが脈が抜ける不整脈の代表ですが、この不整脈も基礎心臓病がない場合にはそれほど心配がない場合が多いです。

 先程の期外収縮というのは1回の脈の乱れですが、期外収縮が続く場合、発作性頻拍といいます。頻度的には先程の期外収縮よりも少なくなりますが、この不整脈はしばしば治療を必要とします。

 不整脈の中で最も注意すべき不整脈の1つに「心房細動」というのがあります。心房の筋肉が細かくけいれんしたような状態になり、脈がバラバラになるのが特徴です。この不整脈の頻度は50歳以上の方が約1%、60歳以上の方が約3%、70歳以上の方が約5%と、年齢とともに動脈硬化の影響などで増えてまいります。無症状の場合も多く、しばしば検診で見つかります。この不整脈は血栓の原因になり得るという点で重要です。心房が細かく震えるような、痙攣を起こしているような状態ですので、血液の流れが滞り、血栓を生じ易くなります。そして血栓が脳にとんでしまうと、いわゆる脳梗塞(脳塞栓)という病気になります。脳梗塞の10%から20%は心房細動を原因としていると言われています。

 狭心症や心筋梗塞、心筋症などで、緊急を要する不整脈が発生する場合があります。代表的なものに心室頻拍がありますが、この不整脈は重症な場合が多く、基礎心疾患と不整脈をしっかりと治療しなければなりません。


  
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