![]() |
No48 |
京都新発見
〜お寺、診療所そして禁煙〜
(6/6)
北海道は、こちらの先生に聞きますとどうも喫煙率が高いとおっしゃるのです。僕はあまり実感ないんですけど、深川の松崎先生からデータをちょうだいしまして、ある高校のお父さん63%、お母さん48%、女性の喫煙率が非常に僕らから見ましても高いですね。いろんな背景はあるようですけど、やっぱりタバコが自分の体に悪い、周りにも悪いということがやはりまだまだ浸透していない可能性は十分考えなければならない。やっぱりこの問題はタバコを吸う人にとって知ってもらわないかん話なんですけど、吸わない人がどう考えるかというのは、タバコの問題にとって非常に大事な問題ですね。ちょっとぐらい吸わせてやってもええやないかという意識が、やはり結果的にタバコを吸う方を不幸に陥れるということになります。今日タバコを吸わない方も、今日の知識をしっかり持って、吸っている方、また社会の環境整備に当たってぜひいろいろ発言してほしいと思います。
吸う方がありましたら、やはりこういうように禁煙する理由をしっかり確かめることが大事。一番多いのはやはり病気になった方、うちところの禁煙外来に来られた理由で多いのはやっぱり調子が悪い方。最近多いのはやっぱり子どもができたとか孫ができたという方。タバコが体に悪いということはほぼ常識的に皆さんご存じですから、このような機会が多いです。何らかの機会がないとなかなかやめられませんね。結婚する恋人に嫌われる、これも最近多いです。結婚して、彼女がタバコ嫌いなんでやめろと言われましたと言うて来はりますね。吸える場所がない。最近多いのがこれなんですよ。かっこ悪い。タバコを吸っているともうかっこ悪いんで、どうしてもやめたいんです言うて来られる方が、この何カ月かというか、半年ぐらい出てきましたね。昔はタバコ吸うとかっこええというふうに思うて吸ってはったんです。ところが、これ最近のちょっと風潮ですね。タバコを吸うのはかっこ悪いんですよ。いや、正直そうや思いますね。そやから吸っている方にも言ってあげてください。あとあるのは、タバコを吸える場所を一生懸命探して、そこでぱぱぱっと吸っている自分の姿を外から想像したら、これはみじめやからもうやめさせてください。これも出てきましたね。まあ人に迷惑かけるということです。
コツとしてはきっぱりやめることが大事ですね。いろいろなコツがあります。上手に気分転換をするということも非常に大事なことですね。別にお薬を使わなくても、これはこれだけでやめられるんですよ。こういう話をすると、吸っている方は軽いタバコに変えて、もしくは本数を減らしたらいいんじゃないかなと思う人があるんですが、実はそうじゃない。これはちょっと難しい。ニコチンが少ないタバコ、多いタバコ。少ないタバコのほうがしっかり吸っちゃうから、一酸化炭素が多い。知らんうちにしっかり吸っちゃってるんで、ニコチンが結果的に入る。このデータから、軽いタバコに変えるのは意味がないということです。
喫煙はストレス解消? 実はニコチン依存の裏返し
ストレス解消のためにタバコを吸っているという人がありますが、それは錯覚です。タバコを吸うというのは、タバコを吸ってニコチンの濃度が上がる、下がってきてニコチンが切れてくる、吸う、また切れてくる、この繰り返しなのです。そうすると、ある一定の濃度のニコチンが体の中に回るようにタバコを吸っちゃう。ということは、このニコチン切れの状態からタバコを吸って戻す。これがストレスの解消をしているのではないかなというふうに錯覚しているにしかすぎないんですね。要するにニコチン依存の裏返しであります。決してタバコを吸っていることでストレスを解消しているのじゃありません。
お薬としては皆さんご存じのようにニコチンの貼り薬、ニコチンのガムというのが、これは今どこでも薬局で売っておりますので利用できます。それに加えて最近は飲み薬というのも発売されました。ニコチン用の作用とそれをブロックする作用を両方持つような、そういうお薬があります。それと健康保険を利用して、禁煙外来をやっているところを調べられたらわかるのですけど、恐らく札幌のほうでもかなりの施設はやっていると思います。こういう保険を利用してタバコをやめるということができるようになっています。
実際、禁煙外来というのがどういうふうにやっているか。高校生、16歳ぐらいの子どもなんですけど、禁煙外来に来ているんです。さっき言うた一酸化炭素(CO)、普通は3から4という数字です。体の中や大気にも一酸化炭素がありますのでゼロにはなりません。25本ぐらい吸っているこの子は、ニコチンパッチを貼るのを指導しました。まだ僕の髪の毛のあるときですけど。こういうふうに実際に外来で指導をする、禁煙を医師が指導してタバコをやめるというような指導をすることができます。
保険適用じゃないときなんですけど、うちとこのデータでは、ニコチンパッチとかガムとか飲み薬、あまり差がないんです。これはお薬が効果がないという意味じゃないんです、いろんな人で使い分けしていますから。一番最初言いましたように、やめなあかんという動機がはっきりしている人はしっかりやめてくれはるんで、お薬を使わなくてもタバコってやめられるものなんですよ。昔そうやったんやからね。だから、こういうニコチンパッチやガムとかお薬を使わなくてもちゃんとやめられるんやで、その気持ちさえあればということになる。やっぱりだれかのためにやめるという動機があった人がようやめはりますね。それでも大体全国調査で3人に1人ですわ。タバコをやめたということを判定するのは1年間の継続率なんですけど、私のデータと同じように3人に1人ぐらいしかなかなかやめられない。それは最初のほうに言ったようにニコチンは依存性が高いから、1回吸っちゃうとなかなかやめられない。だから、子どもが吸わないようにするような教育が大事なんですよね。北海道は空気がうまいし、やっぱり煙は似合わないです。
タバコの煙は吸っている人の煙よりも、副流煙のほうが有害です。外に出ている煙がめちゃめちゃタバコ臭いのは、アンモニア、ホルムアルデヒドなどで、体に付いて臭いですね。レストランで分煙、ここからここまでが喫煙所、こっちが禁煙席と分けても、プールの中でおしっこをしているみたいに、反対側ににじゃあじゃあじゃあじゃあ流れて行くわけです。そやから分煙というのはほとんど意味がない。やはり公共の機関は禁煙になりましょうというのが我々の思っていることです。
あと車の中でお父ちゃんがタバコ吸って、子どもが後ろにいる。これはやめてほしいですね。これは必ず言ってください。レストランは禁煙にしてほしいですね。ショッキングですが、ある国では幼い幼児がタバコで依存になっちゃっているんですね。それから歩きタバコ。これはもう札幌も路上喫煙禁止になっているみたいですから、これはしてはいけないですね、路上で吸うのは。タクシーの禁煙も京都もやっと。札幌はもうかなり以前からなっているのですかね。タクシーに乗ったら全部禁煙やったんでうれしかったです。こういう教育が今後大事です。こうして受動喫煙の害を言うと、ベランダで吸う人がいますが、ベランダでもだめなんですね。2倍ほど部屋の中に入ってきます。最近多いのが、隣の人がベランダでタバコを吸うので、自分のところにタバコの煙が入ってくるのでどうにかしてくださいという電話が入ってきますね。そやからベランダで吸うのはやめましょう。子どもや赤ちゃん。これもやっぱり喫煙は非常に問題があります。お母さん、タバコ吸ってほしくないですね。
最後に、私たちのNPOでは禁煙グッズ、展示場、それからタバコマンという着ぐるみがあります。これ非常に人気なんですよ。行事をするときにこれで人が集まります。こういうのを京都の私のビルの
1階に展示しています。最後の京都新発見、我が国で初めてのタバコフリーミュージアムというのがありますので、おこしやす京都へ。舞妓さんも待っています。どうもご清聴ありがとうございました。
<座長・島本和明先生>
揺りかごから墓場まで、お坊さん、お医者さんとして実践しておられる田中先生ならではのお話だったと思います。
京都の新発見、これまで知られていないところをご紹介いただきましたし、医学と仏教の関係についても大変興味深く聞かせていただきました。
特に最後の喫煙の怖さ、禁煙につきましては、男女ともに喫煙率が高いこの北海道において禁煙運動を進めていく上でも、今日の田中先生のお話は大変有意義で、また大きなステップになるお話だったと考えております。
![]() |

