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動脈硬化の進行を予防する暮らし
(2−2)
生活習慣改善で高血圧予防とくに高血圧、糖尿病は頻度の多い疾患で、図1・2で示すように最近の集計によると、日本人の中高年では半数近くが糖尿病か高血圧であることが分かります。初期の高血圧、糖尿病、高脂血症などは血圧の測定や血液検査をしなければその病気の存在を疑うことはできません。
糖尿病、高血圧は症状のない早期のうちから管理することによって脳卒中、心筋梗塞などの致命的な疾患の発症を防ぐことができるのです。とくに糖尿病は早期からの管理が大切で失明、腎不全による透析導入、閉塞性動脈硬化症による下肢切断など糖尿病特有の悲惨な合併症の進行を防止する意味でも早期発見は重要です。
こうした危険因子の発見の機会として勤労者は職場で定期的に検診を受けることが保障されていますし、40歳以上の自営の人や主婦なども、検診を年1回以上市町村単位で行うことになっていますので、その機会を利用することをおすすめします。市町村の広報誌などに検診の日程や受診方法が掲載されています。
こうした検診により高血圧、糖尿病、高脂血症の疑いをもたれた場合は二次検診や医療機関の受診となりますが、この時点で高血圧、糖尿病、高脂血症などの防止のためのプログラムが用意されることもあり、これらを大いに利用すべきです。
表2に高血圧の進行を防止する生活習慣改善の要点を、最近医師向けに出版された世界保健機構と国際高血圧学会の高血圧診療指針から転記しました。これらの生活習慣の改善は高血圧のみならず他の危険因子の回避にも有用であることは論を待ちません。
わずか6項目ですがこれらは言うは易く、行うは困難の典型ではあります。しかし、いずれも科学的な根拠のある事柄です。生活習慣を変え、それを継続するには大変なエネルギーが必要です。しかし、まず第一歩を踏み出さなければ改善はありません。その一歩がなければ動脈硬化は確実に進行します。
想像してみてください。5年、10年後にヒト知れずに進行していた動脈硬化により脳卒中や心筋梗塞を発症したときのことを。その時ポックリ逝ってしまって多額の保険金を家族に残すことが出来れば、それはそれで幸せな人生の終焉かもしれません。しかし寝たきりになったり、制限のされた生活を強いられる境遇となった場合はいかがでしょうか。
最近は心血管疾患の死亡率は減少しており、必然的に制限された生活を強いられるケースが増えています。相当な高齢になっても自分のことは自分でできて、様々な興味あることに挑戦できる歳相応の健康を確保するためには現在の生活習慣を改善する必要があるのです。まずご自身の出来る一歩から始めて下さい。そして日々の体重や検診での血圧値や血液検査の結果の改善を励みに継続することが必要なのです。