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NO.3

動脈硬化と脂質
(2−2)


大切な生活習慣の改善

高脂血症の原因・分類(表2)

 高脂血症をその原因によって分類すると、(1)体質の遺伝によっておこる「遺伝性(家族性)高脂血症」と(2)遺伝以外の原因でおこる「二次性高脂血症」に分類されます。

表2 原因別にみた高脂血症の分類
(1)遺伝性(家族性)高脂血症 遺伝的な体質が原因 家族性高コレステロール血症
家族性複合型高脂血症
アポE4/4遺伝型高脂血症
家族性III型高脂血症
その他
(2)二次性高脂血症 生活習慣が原因 食生活
運動不足
病気が原因 糖尿病、腎臓病、甲状腺・副腎などのホルモンの病気、肥満、更年期
薬物の副作用が原因 ステロイドホルモン剤など

遺伝性(家族性)は薬物療法必要
 遺伝性(家族性)高脂血症

 体質の遺伝による高脂血症で、いわゆる生まれつきのものです。若いときから高脂血症といわれた人、血縁者に高脂血症や狭心症・心筋梗塞の発症の多い人は遺伝性の可能性が高いです。一般に血清コレステロールは250mg/dl以上ときには300mg/dl以上と非常に高いことが多く、動脈硬化の進行は早いです。このため、この高脂血症の治療には薬物療法が必要で一生内服しなければならないことが多いです。

 家族性高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症、アポE4/4遺伝子型高脂血症、家族性III型高脂血症などがあります。

 家族性高コレステロール血症は1000人に2人の割合でみられ、血清コレステロールは300以上となることが多く、手の甲や手足の関節部やアキレス腱に黄色腫という皮膚病変が現れます。治療しないで放置すると30〜40歳代で心筋梗塞を発症する場合があります。

 家族性複合型高脂血症は1000人に10人の割合でみられ、血清コレステロールと中性脂肪の両方が高値となります。心筋梗塞患者の約30%はこの家族性複合型高脂血症であるといわれています。

 アポE4/4遺伝型高脂血症は、われわれが1995年旭川にて初めて見出して学会報告した高脂血症であり、1000人に7人の割合でみられます。血清コレステロールの値は220〜280mg/dlであり、動脈硬化症やアルツハイマー病になりやすいことが明らかになっています。リポ蛋白を構成するアポEという蛋白がアポE3ではなくアポE4という変異したものであることがこの高脂血症の原因です。

 家族性III型高脂血症は1000人に1人未満という比較的まれな疾患です。これもアポE蛋白の変異(アポE2)によりレムナントリポ蛋白が増加し、動脈硬化症をおこします。血清コレステロールも中性脂肪も増加します。

専門医の確定診断を

これらの遺伝性高脂血症は食事療法や運動療法だけでは血清脂質は充分に改善せず、薬物療法が必要となることがほとんどです。高脂血症は遺伝性か、以下に述べる二次性かを明らかにして治療方針をたててもらうことが重要です。この診断には特殊な検査が必要であり、専門医のいるところで確定診断を受けることをおすすめします。

大切な生活習慣の改善
 二次性高脂血症

 遺伝的体質以外の原因でおこるもので、食事などの生活習慣や何らかの病気が原因になります。

 まず食事について述べます。肉類、脂身の多い魚、バターなどの動物性脂肪(飽和脂肪酸)や鶏卵、うに、イクラ、レバー、もつ類などのコレステロールの多い食品を取り過ぎたり、野菜や海草の摂取不足などの食事のアンバランスにより血清コレステロールが増加します。

 また、エネルギーの過剰摂取、すなわち食べ過ぎや清涼飲料水、アルコールの飲み過ぎ、甘いもの、脂ものの過剰摂取により血清中性脂肪が増加します。また、食べ過ぎとともに運動不足は肥満をもたらし、血清中性脂肪を増加させます。喫煙はHDLを減少させます。

ホルモンの病気、薬剤が原因の場合も

 糖尿病、腎臓病、甲状腺や副腎などのホルモンの病気が原因となって高脂血症をひきおこすことがあります。女性では閉経後エストゲンという女性ホルモンの減退により血清コレステロールが増加します。また、病気の治療に使ったステロイドホルモン剤という薬剤の副作用で高脂血症がおこることがあります。

 二次性高脂血症の治療は原因となっている病気の治療、あるいは食事や運動などの生活習慣の改善が第一であります。そうしても血清脂質が充分に改善しない場合は脂質を下げる薬を服用することもあります。

おわりに

 高脂血症はそれ自身自覚症状はありませんが、将来心筋梗塞などの動脈硬化症をひきおこす、おそろしい病気であることを充分認識していただき、もし高脂血症を指摘されたら、放置せず適切な治療を受けることをおすすめします。


  
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