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NO.17 |
脳卒中ガイドライン2009─後編
〜血液をサラサラにする薬の話〜
(2−2)
旭川医科大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野
片山 隆行氏
いつまで治療しなければいけないの?
歯医者さんで抜歯が必要と言われたときこの質問はよく聞かれますが、結論から言えば一生続けて頂く必要があります。中止によって脳梗塞が再発する危険が高まりますのできちんと続けて下さい。
胃カメラ・大腸カメラや手術が必要なとき
歯科で抜歯するときには当然出血も起こる訳ですが、このときには薬はどうすればいいのでしょうか? 結論から言いますと、抜歯の時でも抗血小板剤や抗凝固薬は継続して頂いています。抜歯の場合は止血は難しくないことがほとんどなので薬は続けても問題ないとされています。むしろ、薬を中止して脳卒中が再発することの方が深刻なのです。
原則として担当医に必ず相談して下さい。
胃カメラ・大腸カメラでポリープを切除しなければならない場合、出血する部位は直接止血しづらい箇所になります。また、手術の場合も出血を伴うことになります。これらの場合、予想される出血の程度などに応じて薬を中止したり、場合によっては注射薬(ヘパリン)に一時的に変更したりします。胃カメラ・大腸カメラの場合は、中止の目安としてアスピリンは3日前、クロピドグレルは5日前、シロスタゾールは2日前です。大手術の場合は、アスピリンは7日前、クロピドグレルは14日前、シロスタゾールは3日前、ワルファリンは3〜5日前に中止します。但し、これらはあくまでも目安ですので必ず担当医に確認してその指示に従って下さい。
脳卒中を繰り返すと麻痺などの障害が重くなったり認知症を生じてくるなどの深刻な問題が出てきます。これを予防するためには、高血圧や糖尿病などをきちんと治療することと、抗血小板剤や抗凝固薬などの血液をサラサラにする薬が有効なことが分かっています。
脳卒中ガイドライン2009は国内外のデータを網羅して科学的に作成されており、患者さんが日々受けておられる治療もこういったデータに裏付けされて行われているのです。

