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NO.17

脳卒中ガイドライン2009─前編
(2−1)

旭川医科大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野 
片山 隆行


はじめに

 脳卒中は日本人の死因の第3位を占めており、寝たきりや認知症の主要な原因ともなっています。脳卒中は一度発症すると深刻な結果を招きますので、その予防が重要となってきます。
  「脳卒中治療ガイドライン2009」は、これまでの膨大な科学的データを集約して、脳卒中発症予防について@高血圧、A糖尿病、B脂質異常症、C心房細動、D喫煙、E飲酒、のほか、F睡眠時無呼吸症候群、Gメタボリックシンドローム、H慢性腎臓病について取り上げています。以下、順に解説したいと思います。

@高血圧

 高血圧は脳卒中の最大の危険因子です。高齢者は140/90mmHg、若年・中年者は130/85mmHg未満が推奨されています。糖尿病や腎臓障害のある方では更に厳格な血圧管理(130/80mmHg未満)が必要とされています。
 高血圧では頭が重い・のぼせるなどの症状が出る時もありますが、多くは無症状ですので、最低1年に1回は健診などでチェックを受ける方が良いでしょう。また、血圧が高めの方は、家庭用の自動血圧計でチェックすることをお勧めします。複雑な機能が付いている機種を選ぶ必要はありません。手首に付けるタイプよりも二の腕に巻くタイプの方が正確とされています。朝起きた時と夜寝る前の2回測ると一日の中での血圧変動が分かり、毎日続ければ健康管理に役立ちます。
 また、塩分の摂り過ぎは高血圧の主要な原因ですので控えましょう。ラーメン・そば・うどんなどの汁は残すようにしましょう。お味噌汁のおかわり・漬け物の取り過ぎ・醤油のかけ過ぎもよくありません。人間は濃い味に慣れを生じやすいので、食材の本来の味わいを楽しむつもりで薄味に慣れるように心がけましょう。酢や辛子・柑橘類で味を工夫するのも飽きがこないようにする上で効果的です。
 既に高血圧と診断されている方は、主治医の先生の指導のもと、お薬で血圧を良好に保つようにしましょう。現在は良く効く薬がたくさん使えるようになっています。

A糖尿病

 糖尿病は高血圧と並んで脳梗塞の主要な原因です。糖尿病では口が乾きやすい・水を飲む量が増える・尿の量が増えるなどの症状が出る時もありますが、多くは無症状ですので、最低1年に1回は健診などでチェックを受ける方が良いでしょう。
 既に糖尿病と診断されている方は主治医の先生の指導のもと、きちんと治療に取り組んで下さい。食事療法・運動療法・薬物療法があります。糖尿病の患者さんでは、高血圧やコレステロールの異常を伴っていることが多いので、これらも同時にしっかり治療することが重要です。

B脂質異常症

 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)・総コレステロール・中性脂肪が高い、あるいは善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低いといった異常は脳卒中を引き起こしやすいことが知られています。脂質異常も自覚症状が出にくい病気ですので、最低1年に1回は検診で血液チェックをしましょう。油っこい料理は控え、揚げ物などはキッチンペーパーなどで余分な油を落とすなどの工夫をしましょう。また、卵類(卵黄や魚卵)にはコレステロールが多く含まれていますので、取り過ぎに注意しましょう。  
 食事療法を十分にしても改善しないときは、お薬できちんと正常化させましょう(表1)。最近は良く効く薬が多く出ています。

表1・リスク別脂質管理目標値


  
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