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第79回日本循環器学会学術集会参加報告
札幌医科大学附属病院検査部・臨床検査技師
安井 謙司氏
この度、貴協会の助成をいただき2015年4月24日から26日の3日間に渡り、大阪国際会議場グランフロント大阪を主な会場として開催された第79回日本循環器学会学術集会に参加してきました。
メインテーマは「日本発-最先端の循環器学 Late breaking Cardiovascular Medicine from Japan」であり、国内だけではなく、海外からも著名な先生が参加し、最先端の研究や技術が紹介され、活発に議論が行われました。
初めて参加した日本循環器学会でしたが、循環器分野における最先端の研究や技術についての講演を聞くことができ、非常に勉強になりました。この学会では、看護師、放射線技師、臨床検査技師をはじめとする医療従事者(コメディカル)を対象としたチーム医療セッションも開催されており、医師以外でも研究などをとおし、積極的に臨床医学に貢献しようとする姿勢に大変刺激を受けました。
私は本学会で、「ドプラ心エコー法を用いた肺血管抵抗指標による間質性肺炎例の予後予測」という演題名で発表する機会をいただきました。間質性肺炎は、肺の間質の線維化に伴い、呼吸不全を来たす予後不良な疾患群です。今回の発表内容は、従来から報告されている呼吸機能検査の指標に、心エコー検査で推定した肺血管抵抗指標を加えることで、間質性肺炎の予後の層別化が出来るというものです。
演題は、チーム医療セッション約340演題中で、コメディカル賞に応募した97演題から選出される12演題の1つに採択されました(一次審査)。二次審査では、10名の審査員の先生と聴衆者の前で10分の発表と5分の質疑応答を行いました。発表の際には、審査員の先生方から、自分では気付かなかった点に関する質問や、多くの助言を頂きました。これらの点は今後の研究課題とし、日々精進していきたいと思います。
お陰様で、私どもの研究成果は高く評価して頂き、第5回日本循環器学会コメディカル賞の最優秀賞を獲得することができました。今回の発表に際し、札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座兼循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座講師湯田聡先生をはじめ、共同演者の先生の方々には、多くのご教示を頂きました。また、同僚の臨床検査技師の方々にも、多くのご指導、ご支援を頂きました。今回の受賞は、その賜物と思っております。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
心エコー検査は、超音波を用いて心臓をモニターに映し出し、心臓の機能不全や、弁の異常を発見することができる大変有用性の高い検査です。また、今回の発表内容にもありましたように、肺疾患を有する患者さんの心臓や肺への負荷の程度なども推定できます。患者さんにとって、被曝の心配もなく、無侵襲で安心して受けていただける検査です。今後、臨床検査技師として、心エコー検査をはじめとする臨床検査に関する研究に従事し、微力ながら患者さんのお役に立っていきたいと思っています。
最後になりますが、この度の学会への参加にあたり、研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より感謝申し上げます。