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第58回日本腎臓学会学術総会
札幌医科大学
循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座 研究生
大野 紘平氏
2015年6月5日から6月7日までの3日間の日程で、第58回日本腎臓学会学術総会が愛知県名古屋市において開催されました。この学会は腎臓分野では国内最大規模の学会であり、日本中から数多くの医師・研究者が参加しています。今回私は、同学会に参加させて頂き、期間中は基礎研究、臨床研究ともに数多くの発表が準備されており、たくさんの興味深い発表を聞く事が出来ました。
名古屋は人口228万人の大きな都市で、新千歳空港から飛行機に乗って2時間弱と比較的札幌からもアクセスの良い所でした。北海道ではまだ長袖が必要な時期でしたが、名古屋は30℃近くあり、暑い気候でした。
今回私は、ポスター発表に参加する機会を頂き、研究テーマとしている「心筋梗塞による急性腎障害に対する2型糖尿病の影響と死亡率の関連」について発表させて頂きました。急性心筋梗塞は、突然死を起こす疾患であることが知られていますが、その他にも心不全を発症し死に至ることもあります。最近カテーテル治療等の進歩により、救命出来ることも多くなってきていますが、日本人の死因の多くを占めている事実は現在も変わっておりません。
急性心筋梗塞に腎機能障害が合併すると、さらに死亡率が増加することが報告されています。糖尿病は心筋梗塞等を発症する冠動脈疾患のリスク因子であるだけではなく、心筋梗塞後の予後不良因子として知られています。
現在は、飽食の時代で、肥満、それに起因する2型糖尿病が増加傾向となっております。そこで、2型糖尿病が急性心筋梗塞後の腎障害にどのような影響を与えているか、2型糖尿病モデルラットによる実験を行いました。2型糖尿病モデルラットでは死亡率の増加を認め、組織学的な変化を認める前から、早期の段階で腎障害を認めていることが判明し、今回の学会で報告させて頂きました。2型糖尿病において、心筋梗塞による腎機能障害が発症するしくみについては今後の研究課題であり、実験を進めて解明してきたいと考えております。同様の研究をしている方と議論させて頂き、今後の研究をするうえで貴重な経験をすることが出来ました。その他にも、多くの研究発表を拝聴し、今後の研究を進めていくうえで参考にしていきたいと考えております。
今回の学会参加の経験を、日常診療に生かし、北海道の医療に微力ながら貢献出来るよう努力していきたいと思います。
最後になりましたが、本学会への参加にあたり研究開発調査助成を賜りました一般財団法人北海道心臓協会に心より厚く御礼申し上げます。