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突然心臓が止まったら(下)
救急蘇生法の知識と方法
(2−2)
4.心臓マッサージ
人工呼吸を2回行なった後に、人差指と中指をそろえて喉(のど)ぼとけにあて軽く押しながら横(側方)にずらしてゆき、頚動脈の拍動をチェックします。拍動が触れなければ、ただちに心マッサージを開始します。
患者がベッドやソファーなどの上では患者の体がバウンドしてしまうので硬い床面に下ろして水平位にして行ないます。
胸骨圧迫式心マッサージ:
図5に示す胸骨下半部(図の斜線部)が正しい圧迫部位です。この部位に片手を置き、その上に他側の手を重ねます。肘を真っ直ぐにして体重をかけ、胸骨を3−5cm下方に圧迫します(図6)。
速さは1分間に100回の速さで1,2,3・・・14,15と数えながら15回心マッサージを行ないます。
なお、現在広く行なわれている胸骨圧迫式心マッサージ法で、胸骨圧迫により血液が駆出される機序は、以前は胸骨と胸椎(背骨)の間で心臓が直接圧迫されてポンプとして働く(心臓ポンプ説)と考えられていましたが、最近の研究の結果では血液の駆出は心臓のボンブ作用ではなく、胸骨圧迫による胸腔全体の圧の上昇によるもので、心臓はただ血流が通過する管の役割をしているに過ぎないとする胸腔ポンプ説が主流になっています。
あまりに強い力で圧迫して肋骨が折れてしまうと、胸腔ポンプを失調させる結果となってしまいます。
5.一人で行なう心肺蘇生法
一人で心肺蘇生法を行なわなければならない場合は、人工呼吸2回−心マッサージ15回、人工呼吸2回−心マッサージ15回・・・をまず1分間行なって効果を判定します。
頚動脈が拍動しているか、呼吸が戻っているかを5秒以内に判定します。呼吸があれば人工呼吸は中止してもよいし、頚動脈の拍動が触れれば心マッサージも中止します。
しかし、どちらも回復していなければ救急隊に引き継ぐまで心肺蘇生法を続けなければなりません。
6.二人で行う心肺蘇生法
二人で心肺蘇生法を行なう場合は、一人が人工呼吸、もう一人が心臓マッサージを行ないます。この場合、人工呼吸を1回行なった後に心臓マッサージを5回行ない、これを繰り返します。
以後は一人の場合と同じで心臓マッサージの回数も1分間に80−100回の速さで行ないます。効果の判定は一人で行なう時と同じです。
心肺蘇生法の最終目標は患者の社会復帰です。心停止した現場での一般市民による心肺蘇生法が速やかにかつ適切に実施されれば突然の心肺停止患者の社会復帰率は著しく向上すると期待されています。
おわりに
以上、心肺蘇生法の解説をしましたが、実際には自ら体を動かして身に付けることがより大切です。最近では職場などで心肺蘇生法の講習を受ける機会もありますが、個人、または個人を中心としたグルーブで心肺蘇生術を実地に教わりたい方は、北海道内の最寄りの消防署に問い合わせると個人、またグループでも教えてくれます。
また、札幌市内の方であれば(財)札幌市防災協会(札幌市中央区南6条西12丁目 電話:011−533−7371)に連絡されてもよいでしよう。


