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市民のための救急蘇生

市立札幌病院        加藤 法喜さん


最初にすることは119番通報

 意識が無く、呼吸をしていない人を目撃した第1発見者は先ず119番通報します。状況と現場の位置を的確に伝え、 直後から心肺蘇生を開始します。発見者が複数の時は119番通報と心肺蘇生の開始を分担して行います。救急隊が到着するまでは可能な限り中断することなく心肺蘇生を続けましょう。

救急隊到着までの5分間が大きな分かれ目

第1発見者による速やかな心肺蘇生が救命率を飛躍的に改善

 心停止により血液が重要臓器(特に脳や心臓)に送られない時間が長ければ長いほど救命率が低下し、社会復帰率が低下します。その分かれ目となる目途は救急隊到着までの5分間(札幌市の平均)で、この時間帯に第一発見者(市民)による心肺蘇生が行われたかどうかが、その後の経過と結果に大きく影響するのです。
 心臓が停止している時には、肺に空気を送り込むための人工呼吸(mouth tomouth、口対口)よりも、脳などの重要臓器に少しでも多くの血液を送る胸骨の圧迫(以前は「心臓マッサージ」と言っていました)の方がはるかに大事であることが分かっています。そのため心肺蘇生においては人工呼吸よりも胸骨圧迫が優先されます。

心肺蘇生で最も重要なのは胸骨圧迫

胸骨圧迫は速く、強く、中断せずに

 圧迫する場所は両側の乳首を結んだ線上の胸骨の上で、両手を重ねて十分に強く圧迫します。圧迫する早さは100回/分のペースで、できるだけ中断することなく続けることが大事です。この時、送るための血液が心臓に戻りやすくするために、胸骨を圧迫する時間と戻す時間が等しくなるようにします。

人工呼吸

 胸骨圧迫を30回、ついで人工呼吸を2回行います。以後同じように繰り返します。人工呼吸は普通量の呼気を1秒以上かけて、胸が目に見えて挙がるように行います。

 なお、目撃者が2 人以上いる時は圧迫と人工呼吸 の役割を分担すると共に、定期的(目安は2 分ごと) に役割を交替して行いましょう。理由は、予想以上 に疲れて圧迫する力が弱くなることが証明されてい るためです。

心室細動の時間経過による生存退院率   人工呼吸

AED(自動体外式除細動器)をご存知ですか

音声で操作方法・手順を教えてくれるAED

 地下鉄やデパートなど、大勢の人が集まる所にAEDが設置されるようになりました。AEDは停止状態にある心臓の拍動を電気ショックによって再開させるための医療機器で、音声によって操作方法や手順を教えてくれるように作られています。以前はAEDの使用を医師や看護師、救命救急士に限定していましたが、現在は一般市民がAEDを使用することができるようになりました(2004年7月厚生労働省通達:医政令第0701001号)。

AEDが到着するまでは胸骨圧迫を続けます

 AEDが到着したら、1回だけ音声ガイドに従ってショック(電気的な除細動)を行います。その後直ちに胸骨圧迫と人工呼吸(30回対2回)を再開します。心停止に陥った心臓は、ショックによって心拍が再開されても、全身(特に脳と心臓)に血液を送る力が直ぐには回復しないためです。

心肺蘇生法の講習会を受講してみませんか

 触れたことが無ければ、経験したことが無ければ、ついつい躊躇してしまうものです。北海道心臓協会 と北海道新聞社は平成18年10月28日に健康講座「救急蘇生とAEDの使い方」を開催しました。講師は市立札幌病院救命救急センター部長・牧瀬博先生で、実習には3 人の札幌市消防局救命救急士が指導に当たりました。このような取組みは道内の各病院でも 行っていますので、機会がありましたら気軽に参加してみてはいかがでしょうか。

  札幌市消防局では「さっぽろ救急サポーター事業」を推進しています。これはAEDが設置され、応急手当有資格者が勤務している施設等に対して、「応急手当協力施設の証」を交付してステッカーを表示してもらうというもので、「市民が市民を助ける救護所」として救急隊との連携で救命率を上げていきたいとの願いから生まれたものです(以上、救急救命第19号より引用)。

 「願いは健やかハート、市民による市民のための救命処置」を市民の皆様と共に推進していきたいと思います。


  
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