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NO.2

ご用心 タイプA
(1−1)


札幌医科大学 第二内科講師 土橋 和文

現代はストレスがいっぱい?

 新聞・週刊誌を一読してみる。「仕事戦士、過労死」「いやしの音楽大ヒット」「笑いの功」―現代はストレスが多く、ひょとしたら病気になると考えがちだ。英和辞典を引いてみる。曰く、”stress:ストレス”=圧迫、強制、圧力、ひずみ、緊張、緊急、非常時、力説、努力、強勢、刺激……なるほど、どれをとっても体には悪そうだ。だが、ほんとうだろうか?

 「ストレスから解放された時代はあったのだろうか?」、自分の記憶をたどるだけで、多分それはない。昔の方がより重大なストレスでいっぱいだ。お腹がすいていたし、もっと暑くてもっと寒かった。”ボー”とすると近所の”ガキ大将”にいじめられる。上司はもっと理不尽だった。世間はもっと喜怒哀楽に富んでいた。人の死はより身近なものだった。昔は誰がみてもはっきりしたどうしようもない外的ストレスがあった。だけど諦めもついた。

 「じゃあ、ストレスに弱くなった?」、多分こっちがあたっている。ある説を思い出した、”現代人のストレスを感じるセンサー(交感神経の受容体)は約2〜3倍増加”、ストレスに弱くなっている可能性がある。”ストレスはセンサーを鈍感にする”そうだ。人間は良く物事に慣れる(鈍感になる)し、図太くなるのだ本来は。外的ストレスが減ったこと、汗して仕事する機会が減ったことも関係しているかも知れない。

 「ストレスが変質している」、これも納得だ。はっきりしない、なんとかなりそうな、内的ストレスだ。おまけに現代のストレスは知らない間に貯まっている。他人は理解できないものが多く、自分だけで受け止める必要がある。

ストレスで心血管病になる?

 これは諸説が”ふんぷん”だ。心臓血管疾患がストレスをきっかけに発病する。一医師として日常よく経験する。阪神大震災で心血管疾患が増えた。時間帯・季節でみても要注意の期間はある。限度を越えたストレスは体の変調をきたすし、ある種の病気を引き起こす。

 確かにストレスは心血管病発病の”きっかけ”となる。だが、多くの場合ストレスを重ねると病気になり(原因となり)やすいとは思えない。あくまでも”最後の一線を越えさせる”のが主体だ、と思っている。

 仕事をしていると体調はよく休みになると具合の悪い亭主族はいっぱいいる。ストレスは体調の変化の黄色信号を消し、病気の自己診断を遅らせる。こっちの方が深刻だ。人間いつか病気になるかも知れないと思って自分自身の体調に注意は払ったほうがいい。定期的に検査をすべきだ。自分自身の納得のために。

 ところでタイプA行動パターンを御存知だろうか? 決して血液型ではない。知らず知らずにストレスを溜めてしまいやすい人達である。内的要求・競争心・使命感が強い人、厄介なのは社会では勝ち抜くタイプが多い。だから、タイプAには日常ストレスはよりいっぱいあるし多彩だ。こんなタイプに心血管病になる人が多いのは事実だ。

ストレスの上手な付き合い法

 最後に自分自身への自戒をこめて、ストレスの上手な付き合い方。

  ”人は、適度の外的ストレスが必要だ”、第一ストレスがないと向上しない。だけど、目標達成はめったにできるものではない。
  ”人は、自分にかかる突然の強いストレスを制御できない”。だから余裕をもって。
  ”人はストレスに強くなる”、他のストレス(運動など)で自分を鍛えておこう。
  適度の人為的ストレスは人を強くする。そう信じている。
  ”人は、ストレスを与えられすぎるとすごく鈍感となる”、自分の黄色信号には注意 。
  ”人は、ストレスに強いものほどストレスが多い”。結果的に病気の進行がわからないかもしれない。

 ときには”ボー”とできるいい時代なんだ今は、笑って生きていこう。


  
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