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心筋梗塞予防に冬の注意点は?
札幌医科大学第二内科講師 中田 智明
Q.冬になりますが、心筋梗塞を予防するための注意点を教えてください。
A.いきなり寒さにさらさぬ備えを心筋梗塞はもちろん冬に多いのですが、夏でも少なくありません。なぜかと言いますと、血管が詰まる病気だからです。寒さで血圧が高くなりますから脳出血は冬に多く、一方、夏は発汗などで脱水になりやすく、したがって血が固まりやすく、それが血管を塞ぐから脳硬塞が多いのです。
冬に多いのは寒さが原因です。寒さが血管を収縮させ、血圧が上がり、脳出血が起きやすくなります。なぜ心筋梗塞かという話ですが、寒さで交感神経は緊張し、全身および心臓の血管が収縮します。さらに、血圧が高くなれば心臓に負荷がかかり、酸素がたくさん必要になりますが、血管は収縮ないし細くなっていて酸素が足りず、狭心症が誘発されたり心筋梗塞になる可能性が高くなります。
心臓に負担をかける因子としては、交感神経の緊張、寒さが悪く、そういう患者さんを何人か診ていますが、中でも大雪の日の朝の雪かきが一番良くないです。寒い朝、いきなり外に出ないということが重要です。早めに起きて、ウォーミングアップを30分くらいして目も体も完全に覚めさせ、その上で外に出る。ラジオ体操でいいですね。
雪かきは、よく質問されますが、健康的な運動にはなっていません。 “健康のため”という意味では、何の運動にもなりません。等尺性運動と言って、力む運動は良くありません。重い雪をかいて力むのは血圧や心拍数を上昇させます。しかも寒い朝に準備運動もしていないとなると、三重苦で心臓に大きな負担がかかります。雪かきをするのなら時間の余裕を持って、ウォーミングアップをし、楽しみながらやることです。歯を食いしばって頑張る、というのはなるべく避けてください。
冷たい空気をいきなり肺に吸い込むと気管支が収縮します。心臓の血管も冠れん縮といって収縮することがあり、避けねばなりません。ですからいきなり冷たい空気を吸わない工夫が必要です。つまり、マスクをして外に出る、これだけでも結構いいと思います。
(2001年9月27日、札幌での健康特別講座から)

