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NO.15

冬の心筋梗塞予防

札幌医科大学医学部第2内科 中田 智明


Q.これから北海道は冬になりますが、特に注意しなければならないことはありますか。すぐいきなり外に出ないとか…。

A.ウォーミングアップを十分にするようにしてください。

 それは心筋梗塞を予防するためということですか、1度心筋梗塞になった方の注意ですか?では、両方でお話しましょうか。結論から言うと同じですが。心筋梗塞というのはもちろん冬に多いですが、夏だって少なくありません。なぜかと言うと、血管が詰まる病気だからです。これには誤解があると思いますが、脳出血は冬に多いんです、寒さで血圧が高くなりますから。一方、脳硬塞は夏に多い。発汗などで脱水になりやすく、したがって血が固まりやすく、それが血管を塞ぐからなんです。夏は脱水になるでしょ、汗をたくさんかきますね、血液が濃縮しますね。血液が固まりやすくなるから、ゴルフ場で倒れたりするのは大体心筋梗塞か脳硬塞です。脱水が重要です。だから汗をかいた分の最低限の水分は摂った方がいい、そういうことです。水分補充というのは大事ですがもちろん摂り過ぎはだめです。とくに、心臓の悪い方、腎臓の悪い方は余分な水分を体の外に出す力が低下していますから、そうすると心不全や腎不全が悪化します。

 冬に多いのは寒さが原因です。寒さが血管を収縮させますね、血管が収縮すると血圧が上がります。すると脳出血が起こりやすい。脳出血というのは血管が破れて、血液が周囲つまり脳内に出るから脳出血です。圧力が低ければ低いほど破裂する危険性は少ない。だから高血圧も治療する。それから、なぜ心筋梗塞かという話ですが、寒さで、交感神経は緊張し、全身および心臓の血管が収縮する(心臓では"れん縮"という)。さらに、血圧が高くなれば心臓に負荷がかかる。すると酸素がたくさん必要になりますが、血管は収縮ないし細くなっていて、酸素が足りない。したがって、狭心症が誘発されたり心筋梗塞になる可能性があります。

 心臓に負担をかける因子としては、交感神経の緊張、寒さが1番悪い。過去にそういう患者さんを何人か診ていますが、1番悪いのは大雪の日の朝の雪かきです。寒い朝、いきなり外に出ないということが重要です。いきなり出ないということは、早めに起きて、ウォーミングアップを30分位する、ラジオ体操でいいですね。完全に目も体も覚めさせるために、ラジオ体操、ウォーミングアップをやっていただきたい。その上で外に出る。雪かきは、よく質問されますが、健康的な運動にはなっていません。誤解しないで下さい。"健康のため"という意味では、何の運動にもなりません、あれは労働です。等尺性運動と言って、力む運動は良くありません。重い雪を掻いてぐっと力むのは血圧や心拍数を上昇させます。しかも寒い朝にウォーミングアップもしていないとなると、三重苦で心臓に大きな負担が来てしまいます。もし雪かきをするのなら時間の余裕を持って、ウォーミングアップしてから、楽しみながらやるということです。歯を食いしばって頑張る、というのはなるべく避けたほうがいい、ということです。冷たい空気をいきなり肺に吸い込むと気管支が収縮します。心臓の血管も冠れん縮といって収縮することがあり、避けねばなりません。ですからいきなり冷たい空気を吸わない工夫が必要です。つまり、マスクをして外に出る、これだけでも結構いいと思います。


  
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