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NO.8

旭川医大第一内科 川村祐一郎

Q.WPW症候群と診断されました

 23歳女性。主婦。まだ子供はおりません。小学生のころから年に3〜4回くらい、体育の後などに、突然脈が速くなり動悸感も伴う発作があり、医師から「WPW症候群」と診断されておりました。安静にして20分くらいでおさまるため、特に薬の内服もせず、激しいスポーツなどは避けるようにして過ごしてまいりました。

 20歳過ぎごろから、この発作の頻度が月1〜2回くらいに急増し、ある日の発作は1時間安静にしてもおさまらなかったために、近くの病院で受診し、静脈注射でやっと止めてもらいました。このとき処方された1日3回内服するカプセル剤を今でも続けていますが、これを飲んでいる限り発作は起こりません。

 ある日、飲み忘れたら、短い発作が起こり、「やはりこの薬は必要なんだな」と痛感しました。私は子供が欲しいと思っています。妊娠中に薬を内服していることが好ましくないということをしばしば耳にします。丈夫な子供を産むためには、薬を止めて、発作に耐えながら妊娠を続けて行かなくてはならないのでしょうか。それとも、そもそも子供を産もうということが無理な相談なのでしょうか。かなり深刻に悩んでおります。

A.心臓カテーテル用いた治療法で根治

 あなたの診断名である「WPW症候群」とは、心臓の中に、正常の刺激伝導系以外に心房と心室をつなぐ余分な道(これを副伝導路といいます)が生まれつき存在し、いろいろな不整脈の原因になるという疾患です。ただし、WPW症候群の人の80%は何らの発作もないため、特に医療の対象とはなりません。また、不整脈以外の心臓機能異常が問題となることは通常ありません。

 あなたの訴えの内容から判断すると、あなたの発作は、WPW症候群に伴う不整脈発作の1つである「発作性上室性頻拍症」であろうと考えられます。

 近年、この不整脈に対し、心臓カテーテルを用いて発作部位を熱変性させ、発作を起こらなくする治療法(カテーテルアブレーション)が開発されています。この方法は根治療法ですから、成功後発作は全く消失し、しかも抗不整脈薬の内服が不要となるという利点があります。

 あなたのようなWPW症候群に伴う発作性上室性頻拍症の場合、不整脈の責任部位がはっきりしています(副伝導路)から、この治療の最もよい適応で、成績も良好です。ぜひ一度、なるべく循環器専門の病院でご相談されることをお薦めします。この治療法の安全性や、どの施設で行われているかなどについてのご説明があることと思います。


  
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