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NO.4 |
北海道大学循環器内科
講師 甲谷哲郎
Q.ニトログリセリンに副作用はないか
70歳男性。最近、朝の散歩中にときどき胸部不快感を感じるので、念のため近くの病院で診察を受けたところ、狭心症の疑いがあるので詳しい検査が必要と言われました。その日は、とりあえず胸痛が起きた時に服用するようにとニトログリセリンという錠剤を渡されました。その時は、気が動転してよく聞けなかったのですが、この爆弾のような名前の薬は、どのような薬なのでしょうか。副作用が心配なのでまだ使っていません。説明をお願いします。
A.頭痛も・・。血圧下がるので横臥し足を高めに
ご質間のニトログリセリンですが、これはニトロ−ルなども含めて硝酸薬といわれ、血管を広げる薬です。服用すると心臓に栄養を与える冠動脈が広がり、血液の流れが良くなり、その結果心筋虚血が改善し、胸痛が消失して行きます。胸痛発作の時には、速く効かせるために舌の下で溶かし、胃腸からではなく、口腔内から直接血管に入り、より速く心臓に到達するようにする訳です。
従って、硝酸薬は狭心症を持つ方には極めて大事な薬で、常に身の回りに置いておくことが必要となります。発作の際にはためらわず舌下してください。通常、2〜3分で発作は消失します。また、決まった動作で発作が出る人は、その動作をする前に予め舌下あるいは服用しておくと発作の予防になります。
なお、ニトログリセリンは揮発しやすいので、瓶に入ったものは一度封をあけると長くても2〜3ヵ月で交換した方がよいでしよう。舌の下にいれて「ぴりっ」とこないものは古くて効果が少ないものと判断してください。最近は、長期保存できるように1錠ずつ密封された錠剤が使われることが多くなっています。
また、より即効性のスプレーもよく使われています。舌下錠は、口が乾いているときには溶けにくいこともありますが、この点、口腔内に噴霧するスプレーは使いやすいかもしれません。ただし1回の噴霧が1錠相当となっていますので、なんとなく「シユーシユー」と繰り返してしまい、使い過ぎることが多いので注意してください。
硝酸薬の副作用は、まず頭痛です。軽いものですと何回か使っているうちに慣れて頭痛が起こらなくなることもあります。次に、ニトログリセリンは全身の血管も開きますので、時に血圧が下がり過ぎてしまうことがあります。とくにアルコールを飲んでいる時には注意しましょう。血圧が低下したときには、横になり足の方を少し高くして休んでください。しばらくすると回復します。
最後に、疑問に思うことは、遠慮なく担当医に質問し、自分の症状と薬の必要性などを十分理解することが大切です。とく薬は効果もありますが、ご心配されているように副作用も合わせ持つことが多いので、十分に納得してから飲むことが重要です。

