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NO.32-6 |
脈が飛んだりする原因について
Q. 私は、血圧は110〜100/60〜70mmHg台のことが多いのですが、たまに上が100mmHg以下だったり、下が50mmHg台のこともあります。脈拍はだいたい60〜90/分くらいで平均すると80台/分が多いです。血圧計で血圧を測っている最中に、たまに一瞬の動悸とともに脈の音が飛びます。ピッピッピとリズムが一定の音が聞こえている途中に、ピピと続けて音がして一拍置く感じです。1 回の血圧測定に2〜4回出る時もあります。しかし、過去に2回ほど過呼吸発作を起こしたことがあり、この際に動悸とともに脈拍が120/分になりました。たまに立ち上がったり座ったりする時に一瞬の動悸を感じることがあります。また、心配なことがあると動悸がして、この時は脈拍が90〜100/分に上がっています。
自律神経がおかしくなっても動悸がするのでしょうか?以前は動悸を感じることはありませんでしたが、太ってから自覚するようになった気がします。A. ご心配されている「動悸」の内容を整理すると、1 )脈が飛ぶ、2 )脈拍が速くなるという2つの異なった症状があるようですね。脈拍は心臓が収縮し全身に血液を送り出す度に脈として触れるものですから、2 つの症状はいずれも心臓の拍動の変化(異常)に基づくものです。ただし、その成因(原因)は全く異なるものですから分けて考えてみましょう。
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1 )脈が飛ぶ
心臓には機械と同じように電気の回路が走っており、これに電気が流れることで規則正しく拍動していますが、時として正常な電気の回路以外から電気刺激がおこる場合があり、予定外の余計な拍動が混ざることがあります。この際に脈が飛ぶという形で認識されます。
「期外収縮」という不整脈の一種ですが、正常者でも一日に数十発から数百発(時には数千発)認められるものです。多くの場合は病的なものではないことが多く、症状もなければ治療の必要な場合は極めて稀です。どうしても心配な場合はホルター心電図(24時間心電図)という検査を受けると病的なものかどうかはっきりします。2 )脈拍が速くなる
運動したとき、緊張・情動興奮(過呼吸発作も)などで脈拍は増えるのは正常反応です。
このような時には、自律神経(交感神経)から分泌されるカテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)という物質により心臓の拍動が早くなります。例えばサッカー選手などでは運動中は脈拍が160/分以上(時として200/分以上)の状態となっています。特に、運動不足、ストレスが強い時、不安感が強い時などカテコールアミンが多く分泌されるため、より心拍数の増加は多くなり、また同じ脈拍増加でも、より動悸感を強く自覚する場合があります。安静時などに急に誘引なく発作的に脈拍160/分以上の速い動悸が持続する場合には、頻脈性の不整脈発作の場合があり精査が必要ですが、今回自覚されているような次第に脈が速くなり、安静して自然に良くなるタイプには病的な意義はなく、ご安心頂いて良いと思います。
お話の内容ですといずれの症状も心臓、脈拍および自律神経の異常ではないようです。ただし、御不安がかなり強く、過呼吸をしばしばおこしているとのことで、仕事・日常生活の面で背景に強いストレスがないでしょうか。うつ病・パニック障害といった疾患でも同様な症状の自覚をすることがあり、あてはまる点があると思われる場合には心療内科の専門医にご相談頂くことも問題解決の糸口になるかもしれません。

