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NO.32-4 |
冠動脈拡張症について
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Q. 6年ほど前に急性心筋梗塞で手術をしたが、先日検診で「冠動脈拡張症」と診断されました。調べてみても、なかなか珍しいようで難しい文献だけしかありませんでした。何か手がかりをご教示ください。
A. 冠動脈拡張症の日本人に関するまとまった報告は少なくて、特に長期予後に関しての研究はほとんどありません。
2004年に報告された論文(J Cardiol 2004;43(2):45-52)によりますと、冠動脈造影検査を受けた患者の1.4%の頻度で見つかっていて、それらの中でも心筋梗塞で見つかったのが65%、狭心症が24%です。冠動脈拡張症での心筋障害の原因は、微少血栓による末梢塞栓と冠微小循環の障害とされています。発見後のフォローで新たに心事故(心筋梗塞など)を発生する率は37%ですが、その内訳では拡張血管が原因になったのが62%あり、非拡張血管よりもイベントの発生原因になりやすくなっています。初回の心事故から70%が4年以内に急性心筋梗塞として発症しているという報告もあります。
従いまして、冠動脈拡張症では心事故の再発の危険性が高く、厳重な管理が必要です。また、同時に合併する冠動脈硬化(狭窄症)も心事故の原因となり得るので、定期的な冠動脈造影や冠動脈CTなどでのフォローアップが必要です。

