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No55 |
緊張とプレッシャー
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タレント・日本体操協会理事、 1957年生まれ。私立関西(カンゼイ)高校で本格的に体操を始める。日本体育大学に入学。卒業後、紀陽銀行に入行。1984年、ロサンゼルスオリンピック大会に出場。団体銅メダル、跳馬銀メダル、鉄棒金メダルを獲得。現役引退後はCMや、スポーツキャスターなどタレントとして活躍するかたわら執筆業を手掛け、金メダル亭慎二として高座で落語を語るなど多彩な才能を遺憾なく発揮している。
市民フォーラム第二部では、タレントの森末慎二氏が、緊張とプレッシャーについて自らの体験をもとに講演しました。座長の長谷部直幸・旭川医科大学教授の紹介で始まった講演は終始笑い声がたえませんでした。
子ども時代から目立ちたがり屋の森末慎二氏は、テレビで体操の大車輪を見た影響で鉄棒に興味を持ち、関西高校に入学してから本格的に体操を始め、日本体育大学では体操部生活で先輩に鍛えられながら、選手として頭角をあらわして行きました。
大学3年進級直前、アキレス腱を切る大けがをしましたが、入院中に同室となった先輩具志堅幸司さんの影響を受けたことが、転機になり選手として大きく成長することになりました。
やがて夢だったオリンピック出場が1984年ロサンゼルスオリンピックで現実となりました。会場に入った瞬間、興奮で地に足が付かない緊張とプレッシャーの極限のなか、得意の平行棒でまさかの落下をします。
しかしこれで落ち着きを取り戻し、体操団体で銅を取りますがその直後、今度は原因不明の高熱に襲われ、食べても吐いてしまう最悪のコンデションのなか、期待せず軽い気持ちで臨んだ跳馬で銀メダルを取りました。
そして鉄棒ではいつもどおりに出来ない自分を意識しながら、身体が火事場の馬鹿力状態の中どのようにコントロールするかを考えて僅差のなか、見事金メダルをとったところで講演予定時間どおりに語り終えました。
来場者は森末慎二氏の軽妙な語り口に引き込まれ、緊張とプレッシャーを実感として受け止めた様子でした。
座長・長谷部直幸先生(旭川医科大学 内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野教授)
「緊張とプレッシャー」というタイトルでご講演を頂きましたが、まさにロサンゼルスオリンピックの手に汗握る緊張とプレッシャーの場面を再現していただく、臨場感溢れるお話でした。「金メダル亭慎二」の高座名に違わず、落語のお話を聞いているような軽妙な語り口で、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。自分が編み出したワザがその名前になって残るというのは、大変な名誉であると同時に、ひとえに森末さんの卓越した才能の結果であることを納得させられる1時間でした。

