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NO.7 |
コンビニ弁当との、上手なつき合い方
(1−1)
北大病院管理栄養士 佐藤 恭子
近年、デパートの食品売場やコンビニエンスストアーでは、様々なお弁当や惣菜が販売されています。これらは、日常生活に不可欠な存在となり、食事は家庭で作るものから買って食べるものへと食生活の概念を大きく変化させました。
しかし、惣菜やお弁当に頼る余り、栄養のバランスや塩分の過剰摂取が問題となっています。
そこで今回は、お弁当を利用する際の賢い方法について考えてみたいと思います。人間には、1日の生命を維持するために最少限必要なエネルギー(基礎代謝)があります。基礎代謝は次の式により求められます。
男性66+(13.7×体重kg)+(5×身長cm)−(6.8×年齢)
女性655+(9.6×体重kg)+(1.7×身長cm)−(4.7×年齢)
(ハリー・ベネディクト法)
<例1>男性55歳、身長170cm、体重65kg
66+(13.7×65)+(5×170)−(6.8×55)=1,433
<例2>女性45歳、156cm,55kg
655+(9.6×55)+(1.7×156)−(4.7×45)=1,237
<例1><例2>の基礎代謝は、男性1,433kcal、女性1,237kcalとなります。
これは、生命を維持するのに最少限必要なエネルギーですから、身体を動かすなど、生活する上で必要なエネルギーは、これに1.2〜1.3を掛けて算出されます。
<例1>男性1,720kca1〜1,863kca1
<例2>女性1,480kca1〜1,600kca1
となります。
不足食材を1品添えて
それでは、例えば幕の内弁当を食べた場合、1日の何パーセントを摂取したことになるでしょうか。幕の内弁当の栄養価は、おおよそ熱量730kcal、蛋白質32g、塩分5gです。
これは、先程の<例1>男性に当てはめると、1,720〜1,863kcalの約40%の熱量に相当し、蛋白質塩分ともに成人1日必要量の約半分が摂取されたことになります。
では、その他には、どの様な食品を食べたら良いのでしょうか。注意する点は、食べたお弁当の内容を把握し、そこに使われていない食材を補うということです。不足しやすい食材としては、野菜や乳製品などが挙げられます。煮物やサラダを加えることで、栄養のバランスが改善されます。お弁当に、缶ジュース、スナック菓子の組み合わせは、熱量が極端に多くなり、蛋白質やカルシウムなどの栄養素が不足します。
この様に材料の選び方一つで、栄養のバランスは随分変わってくるものです。
平成7年度国民栄養調査結果では、朝食の欠食率は、20歳代で男性の3人に1人、女性の5人に1人と高率でした。また、塩分の摂取量も1日、1人当たり平均13.2g、特に50歳代男性では16.5g、女性14gと目標摂取量10gを大幅に上回っています。
ご存じのとおり、塩分の過剰摂取は心臓病・高血圧を悪化させ、欠食することによって、返って太りやすくなることも知られています。(特に心臓病・高血圧の方は、塩分を1日に5〜7gに抑えることが大切です)
食事を抜くということは、様々な病気を起こす引き金になりかねません。家庭で、3食をバランス良くとることが理想的ではありますが、現代の生活内容の多様化は、食事内容を1つのパターンに当てはめられるものではありません。手軽で、便利な外食やコンビニエンスストアーなどを、ただ漠然と受け入れるだけではなく、不足しているものを1品添える、塩分の摂り方に充分注意するなどして賢く利用して行きたいものです。